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大きく息を吸って10数える
「おーぐしくんっ」
だからなんで、この娘はまともに名前を呼ぼうとしないのか。いや、これは保護者の教育のせいか。
あの銀色の髪のちゃらんぽらんな男の顔が連鎖的に思い出されてむっとする。
本当は無視したいところだが、放っておけば大声で人聞きの悪いことを喚きかねないので、仕方ないからと、煙と一緒に大きく息を吐いて振り向けば、大きな瞳と開かれた口。
「うおっ」
連れているのは知ってたけど、なんというか、こんな間近で見ると驚く。なんか息も生臭いし。ていうかその大きく開いた口は何だ。食い付くつもりだったのかこのやろう。
しかし吐き出した煙の臭いに、くしゅっと顔をしかめて、その白い犬は顔を撫でるように前足を上げた。まぁこれも、運がいいというのだろうか。
ひょこりと白い毛皮の上から、見慣れた桃色の髪が現れる。
「チョコおくれ」
伸ばされた手を見て、次にそれを伝って上を見て。にやりと笑った顔を見る。
なんというか・・・そう元は悪くないと思うのだが、この笑い方はいかがなものだろう。何かしら悪巧みしている子供の顔。もっとも、表情に出さずにいきなりバズーカをぶっ飛ばされるよりはましか。
「酢昆布じゃねぇのか」
「だっておーぐしくん、持ってんダロ」
バレンタインだったんだから。と言われて考える。
「そりゃあお前、随分と前のことじゃねぇのか?」
「よこせ」
いやいやいや、会話になってねぇし。
「甘いもんはそんな好きじゃねぇんだよ」
ふーん。と首を傾げて、それからしばらく考えて・・・
「定晴」
「うぉい!」
大きく口を開いた犬から離れて、がりがりと頭を掻く。
「じゃあこれをやろう」
行きがけに近藤さんからポケットに突っ込まれたのど飴があるのを思い出し、それを投げる。しかし何だってこんなもん持ってたんだ、あの人。
「今日のところは、これで許してやるか」
今度はチョコ持って来いヨ。と、何様かと思うような台詞。それからごそごそとポケットをまさぐって、何かを放り投げた。
自分を飛び越えていくそれに手を伸ばしてキャッチみれば、小さなロリポップ。
「銀ちゃんのガメて来たね。やるヨ」
「・・・そりゃどうも」
手に残されたのは、のど飴の代わりにロリポップ。むしろこっちのがお前向きじゃねぇのか。と言えば、鼻で笑う。ああ、可愛くない娘だ。
「ていうか、持ってたならいいだろうが」
「お前馬鹿アルか」
お子様なお前には、煙草よりそっちのがお似合いネ。と、悪態つくと、犬の背から降りて来た道へと戻っていく。
「誰が子供だよ」
手にしたそれを持て余すように見つめて、それから口にくわえた煙草を捨てる。
あの娘の髪にも似たピンク色のそれはやっぱり甘くて、少しだけ、顔をしかめた。
煙草のポイ捨て禁止。
だからなんで、この娘はまともに名前を呼ぼうとしないのか。いや、これは保護者の教育のせいか。
あの銀色の髪のちゃらんぽらんな男の顔が連鎖的に思い出されてむっとする。
本当は無視したいところだが、放っておけば大声で人聞きの悪いことを喚きかねないので、仕方ないからと、煙と一緒に大きく息を吐いて振り向けば、大きな瞳と開かれた口。
「うおっ」
連れているのは知ってたけど、なんというか、こんな間近で見ると驚く。なんか息も生臭いし。ていうかその大きく開いた口は何だ。食い付くつもりだったのかこのやろう。
しかし吐き出した煙の臭いに、くしゅっと顔をしかめて、その白い犬は顔を撫でるように前足を上げた。まぁこれも、運がいいというのだろうか。
ひょこりと白い毛皮の上から、見慣れた桃色の髪が現れる。
「チョコおくれ」
伸ばされた手を見て、次にそれを伝って上を見て。にやりと笑った顔を見る。
なんというか・・・そう元は悪くないと思うのだが、この笑い方はいかがなものだろう。何かしら悪巧みしている子供の顔。もっとも、表情に出さずにいきなりバズーカをぶっ飛ばされるよりはましか。
「酢昆布じゃねぇのか」
「だっておーぐしくん、持ってんダロ」
バレンタインだったんだから。と言われて考える。
「そりゃあお前、随分と前のことじゃねぇのか?」
「よこせ」
いやいやいや、会話になってねぇし。
「甘いもんはそんな好きじゃねぇんだよ」
ふーん。と首を傾げて、それからしばらく考えて・・・
「定晴」
「うぉい!」
大きく口を開いた犬から離れて、がりがりと頭を掻く。
「じゃあこれをやろう」
行きがけに近藤さんからポケットに突っ込まれたのど飴があるのを思い出し、それを投げる。しかし何だってこんなもん持ってたんだ、あの人。
「今日のところは、これで許してやるか」
今度はチョコ持って来いヨ。と、何様かと思うような台詞。それからごそごそとポケットをまさぐって、何かを放り投げた。
自分を飛び越えていくそれに手を伸ばしてキャッチみれば、小さなロリポップ。
「銀ちゃんのガメて来たね。やるヨ」
「・・・そりゃどうも」
手に残されたのは、のど飴の代わりにロリポップ。むしろこっちのがお前向きじゃねぇのか。と言えば、鼻で笑う。ああ、可愛くない娘だ。
「ていうか、持ってたならいいだろうが」
「お前馬鹿アルか」
お子様なお前には、煙草よりそっちのがお似合いネ。と、悪態つくと、犬の背から降りて来た道へと戻っていく。
「誰が子供だよ」
手にしたそれを持て余すように見つめて、それから口にくわえた煙草を捨てる。
あの娘の髪にも似たピンク色のそれはやっぱり甘くて、少しだけ、顔をしかめた。
煙草のポイ捨て禁止。
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