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戦場の紅
赤い、紅い、紅い・・・あかい、いろ。
きっと俺が死ぬ間際に思い出すのは、旦那のことに違いないよ。と、彼の忍は笑って言う。そんな縁起でもないこと。と、思ったが、あまり己を表に出さない彼が、こんなことを言い出すのは珍しいから、言いたい気持ちをぐっと堪えて飲み込んだ。
だってね、旦那ってば、俺がいないと手拭いの場所すら判らないんじゃないの?と茶化されて、失礼な、それくらいは知っている。と息巻いて、はっと気付けばはぐらかされている。
「突然、おかしなことを言う」
馬鹿なことを言うな。先ほど言いそびれた言葉を形にすれば、やっぱり旦那だねぇ。と、困ったような笑顔を返された。
彼は、もともとの表情が、少し目尻の下がった、笑っているような、泣いているような、そんな顔をしていて、それは人当たりの良いものにも見えるけれど、時折、幸村には、壁一枚隔てて、自分や、他の者を拒絶しているように見えたりもする。
これが忍というものなのだろうか。
佐助以外の忍を、幸村は知らない。いや、知ってはいても、彼ほど長く、深く付き合っている忍はいない。そういうものなんだから。と、笑われたのはいつだったのか。
それでも、こんな風に遠くを見るように、隣にいるのに、幸村の存在自体が見えていないような、拒否されているような、不自然な感覚。
こういうのは、嫌だ。
子供ではないのだ。嫌だ嫌だで通る訳がないのは知っている。でも、それを飲み込んでしまえるほど、聞き分けのいい性分ではない。
「馬鹿なことを申すな。某、そんな風に思われるのは嬉しくはないぞ」
第一、何故そこで某なのだ。確かに佐助は某の忍だけれど、総じてそれは、お館様の忍でもあるということだ。某を思うのならば、お館様も思え。それから・・・
「そんなことを思うヒマがあるのなら、生き延びよ」
あかい、あかい、紅い、色。
だってねぇ旦那、きっとその時一番に目にするのは、その色に違いないんだ。己の、仲間の、見知らぬ敵の。体に流れるこの赤い色。
まるで、あんたの鎧のような・・・
「だから、それを思うのならば、生き延びよと言うのだ」
嫌だね、最後の最後まで、感傷に浸ることも許されないのかい、俺。なんて言って笑うその顔は、同じようにちょっと困ったような表情で、でも、先ほどとは少し違う。
腕を組んで、反り返るようにして、満足そうに幸村は、うむ。と頷いた。
ちょっぴりセンチメンタル忍(笑)冗談半分本気半分からかい含めで言ったのに、真っ正直に返されて、逆に思わぬ励ましを貰っちゃった感じ。
きっと俺が死ぬ間際に思い出すのは、旦那のことに違いないよ。と、彼の忍は笑って言う。そんな縁起でもないこと。と、思ったが、あまり己を表に出さない彼が、こんなことを言い出すのは珍しいから、言いたい気持ちをぐっと堪えて飲み込んだ。
だってね、旦那ってば、俺がいないと手拭いの場所すら判らないんじゃないの?と茶化されて、失礼な、それくらいは知っている。と息巻いて、はっと気付けばはぐらかされている。
「突然、おかしなことを言う」
馬鹿なことを言うな。先ほど言いそびれた言葉を形にすれば、やっぱり旦那だねぇ。と、困ったような笑顔を返された。
彼は、もともとの表情が、少し目尻の下がった、笑っているような、泣いているような、そんな顔をしていて、それは人当たりの良いものにも見えるけれど、時折、幸村には、壁一枚隔てて、自分や、他の者を拒絶しているように見えたりもする。
これが忍というものなのだろうか。
佐助以外の忍を、幸村は知らない。いや、知ってはいても、彼ほど長く、深く付き合っている忍はいない。そういうものなんだから。と、笑われたのはいつだったのか。
それでも、こんな風に遠くを見るように、隣にいるのに、幸村の存在自体が見えていないような、拒否されているような、不自然な感覚。
こういうのは、嫌だ。
子供ではないのだ。嫌だ嫌だで通る訳がないのは知っている。でも、それを飲み込んでしまえるほど、聞き分けのいい性分ではない。
「馬鹿なことを申すな。某、そんな風に思われるのは嬉しくはないぞ」
第一、何故そこで某なのだ。確かに佐助は某の忍だけれど、総じてそれは、お館様の忍でもあるということだ。某を思うのならば、お館様も思え。それから・・・
「そんなことを思うヒマがあるのなら、生き延びよ」
あかい、あかい、紅い、色。
だってねぇ旦那、きっとその時一番に目にするのは、その色に違いないんだ。己の、仲間の、見知らぬ敵の。体に流れるこの赤い色。
まるで、あんたの鎧のような・・・
「だから、それを思うのならば、生き延びよと言うのだ」
嫌だね、最後の最後まで、感傷に浸ることも許されないのかい、俺。なんて言って笑うその顔は、同じようにちょっと困ったような表情で、でも、先ほどとは少し違う。
腕を組んで、反り返るようにして、満足そうに幸村は、うむ。と頷いた。
ちょっぴりセンチメンタル忍(笑)冗談半分本気半分からかい含めで言ったのに、真っ正直に返されて、逆に思わぬ励ましを貰っちゃった感じ。
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