忍者ブログ
徒然と小咄など。現在BASARA2メイン。 かなりネタバレや捏造もございます。御注意! あくまでも個人のファンサイトです。 企業様とは関係ありません。
8  7  6  5  4  3  2  1 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ことはじめ。

 目の前に投げ出された銀の髪の束に、村長は目をみはる。美しかったであろうその銀の髪には、赤黒い染みが飛んでいて、それが何を示すものなのかは明白だ。
「それで不満なら、首を持って来させるか?」
 威圧的な眼光。たった一つの目から放たれるそれは、明らかに目の前でうつむく彼等全てかかってもかなわないと、本能的に感じさせる。
「あんな子供が本当に首謀者だってのか?Ha!」
 胸クソ悪ィ。と、吐き出される言葉に、俯いた者達は更にうなだれた。
「それで?他に首謀者はいねぇのか」
 隻眼の男の隣、彼よりひと回りは年のいった男の低い声に、震え上がる。しかし誰も顔を上げる者はいない。
 苦虫を噛み潰したような表情をして、男は主人である隻眼の男を見やった。
「政宗様。いかがいたしますか」
 Shit!と、吐き捨てるようにつぶやき、政宗は息を吸う。
「そうだよなぁ。そういうモンだ。誰だって、仲間を売ろうなんて思やしねぇ。武器を取った以上、お前達は皆同罪だ。家族郎党、殺されたって文句は言えねぇ」
 低く、呻くような声。すすり泣くような声もしてくる。それでも、彼等の誰もが動こうとはしない。
「自分の身が可愛い。家族が可愛い。ああ、賢い選択だろうよ。だがな」
 うつむいて、誰も政宗を見上げようとしない。それでも、彼の眼光に射抜かれているような、そんな恐怖を味わっている。
「覚悟がねぇなら、侍に刀を向けるんじゃねぇ!少なくとも、あの子供にはそれがあった」
「家族がいねぇからとか、そんなことじゃねぇ。侍に刀を向ける意味を、首謀者を名乗る意味を、少なくとも、お前達よりは判ってた」
 少しだけ、政宗の語調が静かになる。何か言いたそうな者達がいるのを見下ろし、苦々しげに舌打ちした。
「大将の首ひとつ。それでお前達を許して欲しいと、震えながら言ったあの子供に免じて、二度とことを起こさないなら、お前達を解放してやる」
 ただし。と、再び強い光を宿らせる片方の瞳で、ぐるりと見下ろす。
「忘れるな。お前達は生かされた。鬼子と影で呼んでいた子供の命を踏みにじって。この村を、畑を、田を、護ったのはお前達じゃねぇ。あの子供だ。神の使いを生け贄にして、お前達は生きるんだ。神をたばかることが出来るなんて、思わねぇことだな」
 行くぞ、小十郎。と、青く染めた衣を翻し、彼は背を向ける。その背を追おうとする者も、投げ出された銀の髪にすがる者もいない。
 背後から聞こえるすすり泣きは、ただ助かったことを小さく喜ぶような声。誰一人として、たった一人の子供の死を悼んでいる様子はない。
「Shit!・・・胸クソ悪ィ」
 彼等は侍ではない。ただ素直に、自分と家族の命を拾ったことに安堵し、喜んでいる。それは仕方のないことなのかもしれない。けれど・・・
「やりきれませんな」
「ああ・・・奴等の誰もが、親のない、見てくれの違うあの子供を振り向きもしない・・・なぁ、小十郎」
「はい」
「他と違う・・・異形・・・異質である。というのは、罪なのか」
 一歩前を歩く主人の表情は、伺い知れない。けれど、小十郎には、痛いほど判った。
「だから、そんな無茶をなされたと?」
 ああ。と、振り返った政宗は、苦笑いを浮かべる。ぽたり。と、白い名残り雪の上に、小さな赤い花が咲いた。




すべての始まり。

拍手[0回]

PR
天野宇宙にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする →
カレンダー
06 2018/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
最新CM
[07/29 明都]
[12/06 天野宇宙]
[12/06 トモシ]
[06/27 東篠 永]
[06/11 NONAME]
最新TB
プロフィール
HN:
天野宇宙
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
・映画を見るのも好き
(娯楽系メイン)
・アーケードゲーム最愛
 月華の剣士第ニ幕
・BASARAは伊達いつ推し。
・銀魂は土神寄り。
⋯マイナーカプ好き?
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
HOMEへ戻る
忍者ブログ | [PR]
shinobi.jp