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ホラーナイト
「ぎゃ〜ちょ、ちょっと待った!」
「バッカ!そっち行ってどーすんだよ!」
「ええッ!?あれ、資料室ってこっちじゃなかったっけ?って、来た来たぁ!」
「Return だReturn!そんで二つ目のDoorを入ってLeftへ」
「何!?ちゃんと日本語で言ってくんないと・・・あああっ」
「連打だ連打!」
「ああもうっ!」
「だから、さっきのトイレにでも隠れてりゃぁ良かったんだよ!」
「あんまりやるとたまに見つかっちゃうんだよ!・・・やった!」
「っしゃぁ!逃げろ!」
その途端、チャイムが高らかに鳴り響いた。
「・・・っ!?」
「わあっ!」
テレビの前で画面に魅入っていた二人はびくりっと震える。いや、むしろ軽く床から浮き上がったようにも見えた。
「びっ・・・びっくりしたぁ」
「Ah 〜、誰だぁ?」
政宗は立ち上がり、玄関へと向かう。その後ろ姿を見ながら慶次はポーズ画面に切り替えて、握り締めていたコントローラーを手放した。
「お邪魔します。あ、慶次兄ちゃん!」
「や、いつきちゃん」
ひょっこりと顔を出したのは政宗の部屋の隣に住む少女で、その後から政宗が飲み物とカップを乗せた盆を持って来る。
「どうしたの?今日は片倉さん、仕事?」
「明日まで戻れないんだとさ。どうする?しばらく遊んで行くか?」
「うん!」
時たま、世話になっている叔父夫婦の家を飛び出しては、友人宅に転がり込む慶次にとって、一人で暮らしている政宗の部屋は最近では仮の宿として定着してきている。いつもという訳でもないのだが、頻度としては高い方だろう。
政宗も、呆れた顔をしてはいるが、よほどのコトがない限りは慶次を迎え入れてくれる。そうしているうちに、隣に暮らし、政宗と親しくしているいつきとも仲良くなった。
歳の離れた少女は素直で可愛らしくて、常に周りに大人しかいなかったという政宗と、親子ほどは離れていないとはいえ、やはり年の離れた兄や姉のような叔父夫婦と一緒に暮らしてきた慶次にとって、小さな妹のような存在だ。
「そういえば何してただ?なんか叫んでる声が聴こえて来たけんど」
「ああ。ゲームやってたんだ」
「ゲーム?」
慶次は少し横に動いて、いつきのための場所を空けてやる。明らかに暗くなった画面は、どう見ても楽しい。という雰囲気ではない。
「ほら、慶次、さっさとsave して切っとけ」
「なんで?おら、見てみたいだ」
「お子様には刺激が強すぎんだよ」
第一、精神的に良くないだろうが。と、政宗は別のパズル系のソフトを取り出す。
「大丈夫だ。そんなん、作りモンの話だべ?」
だから構わない。と、いつきはじっと二人を見つめてそう言う。
「・・・夜眠れなくなっても知らねぇぞ」
諦めたように政宗が言うと、慶次が笑う。なんだって政宗はいつきちゃんに甘いんだろうねぇと言えば、馬鹿言うな。と小突かれた。
「まぁいいじゃないの。どうせ俺達だっているんだし」
その代わり、怖くなったらすぐ言いなよ?と、一応念押しして、慶次はポーズ画面をといた。
「お、上がったか」
濡れた髪のまま出て来たいつきの頭にタオルを乗せて、政宗はガシガシとやや手荒く拭いてやる。いつきも慣れたもので、わぁ。とか言いながらも大人しくしていた。それを見て慶次も笑う。
「ホント、あんたら仲いいよなぁ」
「お前んトコのHappyな叔父貴夫婦に比べればふつーだと思うけどな」
ああ、あれと比べるのはねぇ。と、慶次は苦笑いをする。悪意ある言葉なら反論もするだろうが、政宗の呆れたような口調にそれはなく、まぁ実際、叔父夫婦のあのラブラブっぷりはお年頃な慶次にしても目の毒ともいえるから、それも仕方ない。
「そろそろ帰って寝ないといけないんじゃない?」
自分は夜更かしする気満々だが、何とも珍しく良識あることを言う慶次を茶化しながら、政宗もいつきの長い髪をしっかりと拭き終えると、そろそろ帰っておけ。と、促す。
隣同士だが、夜も更けて来ていることだし、政宗はいつきを部屋へと送り届ける。それじゃあ。と玄関を閉めて、鍵をかける音がするまでドアの傍にいた。それからようやく部屋へと戻る。
「おかえり〜」
どうする?続きやる?と、出迎えた慶次は先ほどまで健闘していたホラーゲームを指さす。結局三人で手に汗握りながらプレイして、なんとかEDまで辿り着いたものの、ランクはB。あと少し。がどこか欠けていたらしい。
「元気だな・・・」
呆れつつも、政宗も悔しいのか止めない。しかしスイッチを入れようとしたその時、玄関から音がした。
「あ、あれ?俺の気のせい?なんか、音が・・・」
とん。とん・・・
「いや、気のせいじゃねぇだろ」
途端に鳴り響くチャイムの音。息を呑む慶次とは裏腹に、政宗は仕方ねェなぁ。とつぶやきながら玄関に出た。
「よぉ。どうした?」
「あの、あのな。その・・・今日は、政宗んトコ、泊まっていいだか?」
寝間着のまま玄関の前に立ついつきを見下ろして、政宗は口の端に笑いを浮かべる。
「慶次にも聞いてみな」
「うん!」
嬉しそうに小走りに部屋の中に入っていく後ろ姿を眺めながら笑う。おそらく明日になれば、子供になんて悪影響なものを見せたんですか。と、小十郎に叱られるのだろうが、その時は慶次も道連れだ。
「あれ、いつきちゃんお泊まり?」
「うん。慶次兄ちゃん、それでもええだか?」
「おうよ!」
さすがに小学生に夜更かしをさせるわけにはいかない。スイッチを入れかけたゲームをやめて、テレビを消した。
「ほらいつき。お前はベッドを使え」
いつもなら慶次は床で、政宗はベッドで寝るのだが、いくら布団を敷くとはいえ、いつきと慶次を並べて雑魚寝。というのには色々と問題がある。やましいことなど何もないのは承知しているが、こういう時はレディファーストなのが政宗らしい。
すぐに寝る準備を整えて、明かりを小さくする。並んで寝転び、そういえば課題がどうの、テスト範囲がどうのと、学生二人はとりとめのない話をする。
「なぁ」
寝ていたとばかり思っていたいつきが、突然ベッドの上から顔を出してきたので、二人はそちらを向いた。
「本当は、おとこどうしのはなし。とか、したかったんだべ?おら、邪魔しちまったか?」
「What?」
誰に聞いた、そんな話。と、眉をひそめれば、チカちゃんが、男には女に判らない男同士の話があるって言ってただ。と、しごく真面目な顔で答える。
チカちゃんてのはどんな小学生なんだ。と、やや呆れ顔な政宗とは違い、慶次はあっけらかんとそんないつきの心配を笑い飛ばした。
「別に男同士でなくたって、友達なら秘密の話もアリだって。何ならいつきちゃんも中に入るかい?」
「本当?」
じゃあ、おらも一緒に寝たい。と無邪気に言われて、二人は一瞬だけ顔を見合わせて、それから少しだけ体を左右にずらして中央を開ける。そうしてそれぞれ、かぶっていたタオルケットを持ち上げて・・・
「Come on」
「おいで」
隻眼の男は皮肉めいた微笑みを浮かべながら、豪快な青年はそれこそ100パーセントの笑顔で迎えてくれる。
飛び込むようにして二人の間に入り込んで、いつきはそれぞれの顔を見上げて笑う。
「じゃあ、まずはどんな秘密の話をしようか」
くすくすと笑いながら、いつの間にか暖かくなってきた夜は静かに更けていく。
翌日、帰って来た小十郎がいつきの不在に気付いて政宗の部屋に入ってみれば、仲良く川の字になって眠る三人の姿があり、ひどく度胆を抜かれたのはまた別の話。
慶次は人の家に転がり込みます(笑)パラレルとはいえ、好き勝手やりすぎた・・・か、も(汗)
年齢的に色々ギリギリな図かと思ったんですが、最後のシーンが浮かんでからもう書きたくて仕方なかったのでした(その割に上手く表現出来なかった・・・)
本編とは関係ない裏設定で、政宗の部屋の風呂は猫足のバスタブ・・・みたいな案があったりしました(笑)
短い割に時間かかってしまってスイマセンでした〜
「バッカ!そっち行ってどーすんだよ!」
「ええッ!?あれ、資料室ってこっちじゃなかったっけ?って、来た来たぁ!」
「Return だReturn!そんで二つ目のDoorを入ってLeftへ」
「何!?ちゃんと日本語で言ってくんないと・・・あああっ」
「連打だ連打!」
「ああもうっ!」
「だから、さっきのトイレにでも隠れてりゃぁ良かったんだよ!」
「あんまりやるとたまに見つかっちゃうんだよ!・・・やった!」
「っしゃぁ!逃げろ!」
その途端、チャイムが高らかに鳴り響いた。
「・・・っ!?」
「わあっ!」
テレビの前で画面に魅入っていた二人はびくりっと震える。いや、むしろ軽く床から浮き上がったようにも見えた。
「びっ・・・びっくりしたぁ」
「Ah 〜、誰だぁ?」
政宗は立ち上がり、玄関へと向かう。その後ろ姿を見ながら慶次はポーズ画面に切り替えて、握り締めていたコントローラーを手放した。
「お邪魔します。あ、慶次兄ちゃん!」
「や、いつきちゃん」
ひょっこりと顔を出したのは政宗の部屋の隣に住む少女で、その後から政宗が飲み物とカップを乗せた盆を持って来る。
「どうしたの?今日は片倉さん、仕事?」
「明日まで戻れないんだとさ。どうする?しばらく遊んで行くか?」
「うん!」
時たま、世話になっている叔父夫婦の家を飛び出しては、友人宅に転がり込む慶次にとって、一人で暮らしている政宗の部屋は最近では仮の宿として定着してきている。いつもという訳でもないのだが、頻度としては高い方だろう。
政宗も、呆れた顔をしてはいるが、よほどのコトがない限りは慶次を迎え入れてくれる。そうしているうちに、隣に暮らし、政宗と親しくしているいつきとも仲良くなった。
歳の離れた少女は素直で可愛らしくて、常に周りに大人しかいなかったという政宗と、親子ほどは離れていないとはいえ、やはり年の離れた兄や姉のような叔父夫婦と一緒に暮らしてきた慶次にとって、小さな妹のような存在だ。
「そういえば何してただ?なんか叫んでる声が聴こえて来たけんど」
「ああ。ゲームやってたんだ」
「ゲーム?」
慶次は少し横に動いて、いつきのための場所を空けてやる。明らかに暗くなった画面は、どう見ても楽しい。という雰囲気ではない。
「ほら、慶次、さっさとsave して切っとけ」
「なんで?おら、見てみたいだ」
「お子様には刺激が強すぎんだよ」
第一、精神的に良くないだろうが。と、政宗は別のパズル系のソフトを取り出す。
「大丈夫だ。そんなん、作りモンの話だべ?」
だから構わない。と、いつきはじっと二人を見つめてそう言う。
「・・・夜眠れなくなっても知らねぇぞ」
諦めたように政宗が言うと、慶次が笑う。なんだって政宗はいつきちゃんに甘いんだろうねぇと言えば、馬鹿言うな。と小突かれた。
「まぁいいじゃないの。どうせ俺達だっているんだし」
その代わり、怖くなったらすぐ言いなよ?と、一応念押しして、慶次はポーズ画面をといた。
「お、上がったか」
濡れた髪のまま出て来たいつきの頭にタオルを乗せて、政宗はガシガシとやや手荒く拭いてやる。いつきも慣れたもので、わぁ。とか言いながらも大人しくしていた。それを見て慶次も笑う。
「ホント、あんたら仲いいよなぁ」
「お前んトコのHappyな叔父貴夫婦に比べればふつーだと思うけどな」
ああ、あれと比べるのはねぇ。と、慶次は苦笑いをする。悪意ある言葉なら反論もするだろうが、政宗の呆れたような口調にそれはなく、まぁ実際、叔父夫婦のあのラブラブっぷりはお年頃な慶次にしても目の毒ともいえるから、それも仕方ない。
「そろそろ帰って寝ないといけないんじゃない?」
自分は夜更かしする気満々だが、何とも珍しく良識あることを言う慶次を茶化しながら、政宗もいつきの長い髪をしっかりと拭き終えると、そろそろ帰っておけ。と、促す。
隣同士だが、夜も更けて来ていることだし、政宗はいつきを部屋へと送り届ける。それじゃあ。と玄関を閉めて、鍵をかける音がするまでドアの傍にいた。それからようやく部屋へと戻る。
「おかえり〜」
どうする?続きやる?と、出迎えた慶次は先ほどまで健闘していたホラーゲームを指さす。結局三人で手に汗握りながらプレイして、なんとかEDまで辿り着いたものの、ランクはB。あと少し。がどこか欠けていたらしい。
「元気だな・・・」
呆れつつも、政宗も悔しいのか止めない。しかしスイッチを入れようとしたその時、玄関から音がした。
「あ、あれ?俺の気のせい?なんか、音が・・・」
とん。とん・・・
「いや、気のせいじゃねぇだろ」
途端に鳴り響くチャイムの音。息を呑む慶次とは裏腹に、政宗は仕方ねェなぁ。とつぶやきながら玄関に出た。
「よぉ。どうした?」
「あの、あのな。その・・・今日は、政宗んトコ、泊まっていいだか?」
寝間着のまま玄関の前に立ついつきを見下ろして、政宗は口の端に笑いを浮かべる。
「慶次にも聞いてみな」
「うん!」
嬉しそうに小走りに部屋の中に入っていく後ろ姿を眺めながら笑う。おそらく明日になれば、子供になんて悪影響なものを見せたんですか。と、小十郎に叱られるのだろうが、その時は慶次も道連れだ。
「あれ、いつきちゃんお泊まり?」
「うん。慶次兄ちゃん、それでもええだか?」
「おうよ!」
さすがに小学生に夜更かしをさせるわけにはいかない。スイッチを入れかけたゲームをやめて、テレビを消した。
「ほらいつき。お前はベッドを使え」
いつもなら慶次は床で、政宗はベッドで寝るのだが、いくら布団を敷くとはいえ、いつきと慶次を並べて雑魚寝。というのには色々と問題がある。やましいことなど何もないのは承知しているが、こういう時はレディファーストなのが政宗らしい。
すぐに寝る準備を整えて、明かりを小さくする。並んで寝転び、そういえば課題がどうの、テスト範囲がどうのと、学生二人はとりとめのない話をする。
「なぁ」
寝ていたとばかり思っていたいつきが、突然ベッドの上から顔を出してきたので、二人はそちらを向いた。
「本当は、おとこどうしのはなし。とか、したかったんだべ?おら、邪魔しちまったか?」
「What?」
誰に聞いた、そんな話。と、眉をひそめれば、チカちゃんが、男には女に判らない男同士の話があるって言ってただ。と、しごく真面目な顔で答える。
チカちゃんてのはどんな小学生なんだ。と、やや呆れ顔な政宗とは違い、慶次はあっけらかんとそんないつきの心配を笑い飛ばした。
「別に男同士でなくたって、友達なら秘密の話もアリだって。何ならいつきちゃんも中に入るかい?」
「本当?」
じゃあ、おらも一緒に寝たい。と無邪気に言われて、二人は一瞬だけ顔を見合わせて、それから少しだけ体を左右にずらして中央を開ける。そうしてそれぞれ、かぶっていたタオルケットを持ち上げて・・・
「Come on」
「おいで」
隻眼の男は皮肉めいた微笑みを浮かべながら、豪快な青年はそれこそ100パーセントの笑顔で迎えてくれる。
飛び込むようにして二人の間に入り込んで、いつきはそれぞれの顔を見上げて笑う。
「じゃあ、まずはどんな秘密の話をしようか」
くすくすと笑いながら、いつの間にか暖かくなってきた夜は静かに更けていく。
翌日、帰って来た小十郎がいつきの不在に気付いて政宗の部屋に入ってみれば、仲良く川の字になって眠る三人の姿があり、ひどく度胆を抜かれたのはまた別の話。
慶次は人の家に転がり込みます(笑)パラレルとはいえ、好き勝手やりすぎた・・・か、も(汗)
年齢的に色々ギリギリな図かと思ったんですが、最後のシーンが浮かんでからもう書きたくて仕方なかったのでした(その割に上手く表現出来なかった・・・)
本編とは関係ない裏設定で、政宗の部屋の風呂は猫足のバスタブ・・・みたいな案があったりしました(笑)
短い割に時間かかってしまってスイマセンでした〜
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