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徒然と小咄など。現在BASARA2メイン。 かなりネタバレや捏造もございます。御注意! あくまでも個人のファンサイトです。 企業様とは関係ありません。
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手駒を増やそう。
の続き(完結)



「将棋ねぇ・・・お嬢ちゃんには少し早いんじゃない?」
「本っ当に申し訳ない!」
「だから、山崩しだったんだよ」
「ひらに、ひらに御容赦願いたい!」
「回り将棋は?」
「まっこと、どれだけ頭を下げたところで済む問題ではないかもしれぬが」
「ああ、でもあれもなんだかんだでrule が面倒だろ」
「某に出来ることであれば、代わりに・・・」
「「うるさい!」」
 政宗はともかく、配下の佐助にまで一喝されて、幸村は更に小さくしゅんとなる。
「別にいいだよ」
「いつき殿・・・!」
「負けたら首落とされる訳じゃねぇしな」
 可愛い顔をして、微笑みすら浮かべて、さらりと恐ろしいことを口にするいつきを見上げて、幸村は唖然としたように口を開けて、しばし動きを止めた。
「お宅のお嬢さん、歳に似合わずすごいこと言うね」
「ウチのじゃねぇよ。ま、cool っちゃあcool だな」
 今のはな。と、念を押す。むしろ政宗の方が驚いたくらいだ。
「今の似てただか?」
 へ?と、幸村の目が大きく見開かれる。いつきは笑って、政宗と佐助、そして小十郎の方を向いた。
「今の、政宗みたいだったべ?」
 途端に皆の視線は政宗へ。いきなり矛先を向けられた政宗が今度は唖然とする。
「政宗様。ですからあれほど、言葉遣いには気をつけてくださいと・・・」
 子供は見ていないようでよく見ている。しかも、出来れば覚えない方がいいようなことの方が強く印象に残るようだ。
「・・・いつき、そういうのは真似するな」
「何でだ?かっこいいべ?」
 ああそれはありがとう。と、少し気恥ずかしいのを誤魔化すように咳払いをして、なんとも言いにくそうに言葉を紡ぐ。
「Lady がそんな言葉を遣うもんじゃねぇ。You see?」
 判っただ。と、良い子の返事。素直なのは良いことだが、素直すぎるのも困りものだ。
 そう、例えば今いつきの目の前にいる虎の若子のような・・・
「いつき殿は政宗殿を尊敬してるのでござるか?」
「んだ。政宗はおら達を助けてくれた。おら達が笑って暮らせる世を作ってくれるって約束しただ。そんで、今もそれを守ってくれてる。だからおら、政宗が大好きで、尊敬してるだよ」
「〜〜〜っっっだぁっ!」
 大きな音を立てて襖を開いて、どかどかと足音も荒く政宗が廊下に出て行く。
 政宗様、どちらに行かれるか。と、小十郎が声をかければ、茶の用意を頼んで来る!と、荒々しい声だけが返って来た。
「あらあら。独眼竜も形無しだね」
「素直じゃねぇんだ。無礼は容赦願いたいね」
 部屋を出る際、政宗の顔が赤くなっていたのをしっかり目撃していた佐助と小十郎は苦笑いを浮かべる。幸い、彼がライバルと認める虎の若子には見られなかったらしい。
「慣れてないんだろうね〜ああやって素直に褒められるの」
「そっちの旦那は、褒められて育った典型だな」
 ありがとう。と苦笑して、訳が判らない。といったような表情の幸村といつきを振り返る。
「で、どうする?肝心の竜の旦那、多分しばらく戻らないよ?」


 足音も荒く城内を歩く。台所なんてとっくに通り越して、気が付けば一番はしっこの部屋の前まで来ていた。
「〜〜〜っ」
 滅多に人の通らないその廊下にどっかと座り込み、無造作に頭を掻く。先ほどのいつきの言葉と、それを聞いてまっすぐにこちらを見た幸村の表情を思い出し、頭を抱えた。
「shit!俺としたことが」
 あんな言葉ひとつで平静を失うなんて、と、今更になって恥ずかしさと、何より悔しさが込み上げてくる。いつきの言ったことに間違いはない。自分はそう約束した。ただ、それをああして人前で言われるのと、何より、それで尊敬しているなんて言われたら、もうなんだかいたたまれない気持ちになったのだ。
 狼狽えてしまった自分への腹立ち。けれどそれとは別に、素直に己を慕い、尊敬しているとまっすぐに言ってくれた少女の言葉に嬉しさも覚えたのは確かで・・・
「ああ、畜生」
 恥ずかしくて顔が赤くて、それなのに嬉しくて、顔が緩んでしまうのが判る。
 しばらくそうして一人、上を向いて空を見上げて。それからようやく腰を上げる。
「仕方ねぇ。奮発してやるか」


「・・・」
「・・・っ」
「・・・」
 ひどく真剣な眼差しで、瞬きもしてないんじゃないかというくらい盤を見つめ、幸村が震える指で駒を取る。途端に震えが伝わったのか、カタカタンッと音を立てて駒の山が崩れた。
「あああ〜」
「はいはい。じゃあこれはいただきっと」
「佐助〜」
「何?恨みがましい声出したってダメだよ?そういう遊びなんだから」
「幸村の兄ちゃん、下手だなぁ」
「力を入れ過ぎなんだ。駒どころか盤まで震えてちゃあな」
「・・・何やってんだ」
 片手に茶道具一式を乗せた盆。そしてもう片方の手には菓子鉢を持った政宗が、所在なげに部屋の入り口に立っていた。
「「「「将棋崩し」」」」
 四人(しかも内三人は成人男性)でもって小さな盤を囲んで、頭をくっつけるように寄せ合って。ひどく真剣な面持ちで、駒の山に挑む姿は滑稽を通り越して何か違うものにも見える。
 ていうか小十郎、お前側近なら探しに来る素振りくらい見せろよ。と思ったが、まぁその辺りは信用されている。ということで納得しておく。
「主人に茶の準備をさせといていい身分じゃねぇか」
 何言ってるんですか、政宗様が勝手にそう言って出て行ったんですよ。と、小十郎は相変わらずすっきりきっぱり切って捨てる。
「政宗もやるべ!今忍の兄ちゃん一人勝ちなんだ」
 それなら俺が外れましょう。と小十郎が言えば、それはダメだと幸村といつきからブーイングが起こる。
「片倉殿、勝ち逃げは許されぬぞ!」
「そうだべ!」
「んじゃあ俺はいつきのHelp ってことで」
 今度は湯のみを傍に置き、男四人で盤に向かう。政宗の背中におぶさるようにして、いつきも上から盤をのぞいた。
「イカサマすんなよ、武田忍」
「やだなぁ、俺様そんなことしないよ?」
 たかだか遊びじゃない。と、笑う顔が嘘くさい。
 かくして、端からみたらひどく間抜けというか馬鹿らしいというか・・・そんな感じの勝負は、遊びの筈がいつの間にか本気になって、何度か政宗と交代しながら遊んでいたいつきがあくびを噛み殺すようになるまで続けられたのだった。






この前段階がえらく長くなった割にオチがこんなお馬鹿でスイマセン(苦笑)
ていうかお前等暇もいいとこだな。これ戦国か?中学生みたいなぐだぐだっぷりですね、終ってみれば・・・
でも実際この人達、結構大人気ないと思うのですよ。遊びだからこそ意地になるタイプばかりな気がしないでもない。

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