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Blue, blue, blue, sky
真っ青な空の下、照りつける太陽を見上げて舌打ちする。
阿呆みたいにかんかんと強い日差しに辟易しながら、その光をめいっぱいにまで吸い込むような黒い隊服を肩に担ぐようにして羽織り、見渡す限り影なんて出来そうもない町の中を歩く。
こんな調子じゃ、誰だって悪事を働く気力もないだろうに。と、自分でも思わなくもないが、それはそれ、真選組副長として、見本を示さねばならない。
「あ〜〜〜っ」
ジリジリと焼け付く太陽光。黒髪までもが熱を吸収して馬鹿になりそうだ。煙草、このままくわえてたら火ィつくんじゃねぇか?なんて、科学的でないことを考えていると、ようやく小さな日陰が見えた。
サボる訳じゃない。ひと休みするだけだ。そんなことを頭の片隅に思いながら、素直にありがたいと近づけば、そこには先客がいた。
「あ、おーぐしくんだ」
「だから、その呼び方はヤメロ」
小さな日陰の中に大きな犬と一緒になって、一人の少女が座り込んでいた。
片隅にはいつも手にしている物騒な傘。ノースリーブのチャイナ服は、珍しく丈の短かいワンピースで、ああ、そういえばこいつも女の子なんだなぁ。なんて、おかしなところで感心してしまった。
「ここはもう満席ヨ。他の処に逝くヨロシ」
「おい、今、逝くって言ったか?なんだよその不吉な変換」
「被害妄想ね。誰も死んじまえなんて言ってないヨ」
「言ってんじゃねぇか!思いっきり。ていうかもう少しそっち詰めろ」
「おまわりがいたいけな美少女を追い出すのカ」
大体、仕事さぼってんじゃねぇぞこのマヨ男。と、相変わらず可愛らしい顔立ちに似合わず辛辣な口調。しかしさすがにこれだけ暑くてバテていると、真面目に怒る気力もない。
「いーからもう少しそっち詰めろ」
文句の言葉も聞き流し、無理矢理日陰の中に入り込む。
「大体、こんな日に外出てんじゃねぇよ、いっつも傘持って歩いてるクセに」
「仕方ないよ。銀ちゃんトコ、クーラーないね。熱気こもってもうムンムンよ」
うっわぁと、思わず目の前の娘に同情してしまう。まぁ実際、真選組の屯所もまた違った意味で暑苦しいのだが、この御時世にクーラーのひとつもないというのは、まさに拷問だろう。
「まぁいいや。俺ァ少し休むから、邪魔すんなよ」
ごろり。と転がれば、真上から見下ろす大きな犬の大きな瞳と口・・・
「・・・やめさせろ」
ちぇっという舌打ち。なんとなく、そのまま日陰で二人は黙る。
ああ、このまま寝ちまおうか。なんて、珍しくサボり心が頭をもたげる。
「お前、似合わないね」
「あん?」
「お日様の下」
ああ、そうだな。なんて、ガラにもなく思う。夜の闇、血煙の夕暮れ・・・いつか命を落とすとしたら、きっとこんな青空の下なんてことはないだろう。
その時にそれを後悔するなんて思ったりはしないけれど、もしかしたら、こんなふうに何気なく見上げた真夏の空が懐かしいとか思ったりするのだろうか。
「じゃあその時は、お前でもいいな」
「何ヨ、急に。キモチ悪い」
そうだ、自分でも気持ち悪いと思う。なんでそんなことを思ったのだろう。
ただ、こんなに馬鹿みたいにピーカンな青空と、太陽に弱いクセにその下に出て来た馬鹿な娘と、それから、このクソ暑いのにしっかりクビ元までシャツの釦を止めている馬鹿みたいな自分と・・・
そういう色んなものが揃って、このバカバカしいまでの晴天の下、らしくなくセンチメンタルな気分になったのかもしれない。いや、もしかしたら熱射病一歩手前なのかもしれないが。
青い青いその瞳。青空のようなその色を最後に見られるなら、悪くないかもしれない。なんて、普通じゃ思うことなんてないのだから。
何となく書いてみたかった神楽の目のネタでした。なんか最初思ってたのとだいぶ変わってしまった・・・ていうかなんで真夏の話になったんだろう(苦笑)
マイナー承知で土方と神楽のカップリングが好きなんで、なんかもうゲリラ的に、こうしてたま〜にまた何か書いてるかもしれません。
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