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愚か者達の唄
小さく口ずさむうたは遥か遠き故郷の唄。傾けた徳利から流れる酒を海へと注ぎ、静かに瞳を伏せた。
「陽気にやれよ」
笑い、泣き、傷つき・・・共に歩んだ時間はそれぞれで、長くもあれば短くもあり。しょっぱい風に頬を叩かれ、降り注ぐ日差しと叩き付けられる雨風に打たれ。そうやって、決して大きくはないこの船という世界の中、彼等と共に過ごした日々を想う。
振り向いているだけでは進めない。水底に沈んだ者の声を聞いてはならぬ。生者を、生を求める水底の手に引きずられてしまわないように。それは決して、彼等の本意ではないだろうから。
生者は前へ、舵を切って、風を受けて水面を進む。そうして時々、こんなふうに月の綺麗な晩にでも、かつての仲間を思い出し、慰めの酒と、弔いに唄を口ずさめばいい。
風はどこにでも吹いていて、海はどこまでも広く繋がっていて。空と海に浮かぶ双子の月を肴に、ほんの少しの祈りを捧げて・・・
小咄の中でも最短?ていうか散文なのか詩なのかも・・・(汗)
長曾我部のアニキでした。なんか月夜に船の上で、一人静かに仲間の弔いの酒を呑む。みたいな絵が浮かんだので、それをそのままイキオイに任せて書いてみた。
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