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まるで家族のように
おかえりなさいという声がして、ドアを開ける小さな少女。ふと、かつての彼を思い出してくすりと笑いが込み上げた。
「どうしたんだべ?」
きょとんとしたいつきの頭を撫でて、玄関の中へと促す。軽い足音を立てながら軽やかに小十郎を追い越して、いつきは一足先にキッチンへと入った。
「今日は慶次兄ちゃんも来てたから、魚だっただ」
「そうか、政宗様が?」
「んだ」
小十郎は政宗のことを「様」付けで呼ぶ。最初はどうしてだろう。と思ったのだが、なかなか訊くことが出来ないままで、今ではむしろ、それ以外の呼び方をするところを想像出来ない。
「慶次兄ちゃんは文句言ってたクセに、結局おかわりまでしただ」
冷蔵庫の中からおかずを取り出し、レンジに入れる。少し危なっかしいとは思うのだが、小十郎は黙ってそれを見ていた。
「政宗はさっき、慶次兄ちゃんと一緒に帰っただよ。入れ違いになっちまったな」
しゃべりながらも、くるくると動き回る。味噌汁を火にかけ、茶碗を出して御飯を盛って。暖めた味噌汁を器に盛る頃には、レンジがおかずが温まったと音を立てる。
テーブルの上に並べられた一人分の食事。お茶を二人分煎れて、いつきは小十郎の正面の席に腰掛けた。
「いただきます」
「はい、どうぞ。だべ」
小十郎が食事をしている間、いつきはその日あったことを色々と話す。特に今日は思いがけぬ来訪者があったせいか、そのことについて楽しげに語っている。
「んで、慶次の兄ちゃん家出したっていうんで、政宗が連れてっただ」
本当はウチにかくまってって言ってたんだけど。と、少しだけ残念そうなのを見て、ウチに来いと政宗が言い張ったであろうことが容易に想像出来てしまう。
政宗は、この歳の離れた少女をまるで妹かのように可愛がっている。もともと小十郎が預かることになったのだって、政宗から頼まれたからだ。
渋々という訳ではなかったが、正直不安がなかったと言えば嘘になる。元々政宗も小十郎も強面な上、男所帯の育ちだったため、女性・・・しかも少女と上手くやっていけるのだろうか。という不安があった。それでも元々おおらかなのか度胸が座っていたのか、いつきはすぐに小十郎にも懐いてくれて、今では随分上手くやっていると思う。
家に帰って迎えてくれる者がいるというのはいいものだと、最近になってしみじみ思う。
「前田の坊主が来てるなら、明日はモーニングコールが必要か」
「おらがやろうか?」
小十郎が洗った茶碗をいつきが片づけていく。これもいつの間にか自然と分担するようになっていた。
「そうだな。少しばかり手厳しく頼む」
「判っただ」
二人は笑う。それは政宗が見ていたら、まるで親子みてぇだぜ。とでも言いそうな、そんな光景だった。
何気に前回の慶次の家出話からの続き。
結局慶次は政宗のトコへ転がり込みまシタ(笑)
「どうしたんだべ?」
きょとんとしたいつきの頭を撫でて、玄関の中へと促す。軽い足音を立てながら軽やかに小十郎を追い越して、いつきは一足先にキッチンへと入った。
「今日は慶次兄ちゃんも来てたから、魚だっただ」
「そうか、政宗様が?」
「んだ」
小十郎は政宗のことを「様」付けで呼ぶ。最初はどうしてだろう。と思ったのだが、なかなか訊くことが出来ないままで、今ではむしろ、それ以外の呼び方をするところを想像出来ない。
「慶次兄ちゃんは文句言ってたクセに、結局おかわりまでしただ」
冷蔵庫の中からおかずを取り出し、レンジに入れる。少し危なっかしいとは思うのだが、小十郎は黙ってそれを見ていた。
「政宗はさっき、慶次兄ちゃんと一緒に帰っただよ。入れ違いになっちまったな」
しゃべりながらも、くるくると動き回る。味噌汁を火にかけ、茶碗を出して御飯を盛って。暖めた味噌汁を器に盛る頃には、レンジがおかずが温まったと音を立てる。
テーブルの上に並べられた一人分の食事。お茶を二人分煎れて、いつきは小十郎の正面の席に腰掛けた。
「いただきます」
「はい、どうぞ。だべ」
小十郎が食事をしている間、いつきはその日あったことを色々と話す。特に今日は思いがけぬ来訪者があったせいか、そのことについて楽しげに語っている。
「んで、慶次の兄ちゃん家出したっていうんで、政宗が連れてっただ」
本当はウチにかくまってって言ってたんだけど。と、少しだけ残念そうなのを見て、ウチに来いと政宗が言い張ったであろうことが容易に想像出来てしまう。
政宗は、この歳の離れた少女をまるで妹かのように可愛がっている。もともと小十郎が預かることになったのだって、政宗から頼まれたからだ。
渋々という訳ではなかったが、正直不安がなかったと言えば嘘になる。元々政宗も小十郎も強面な上、男所帯の育ちだったため、女性・・・しかも少女と上手くやっていけるのだろうか。という不安があった。それでも元々おおらかなのか度胸が座っていたのか、いつきはすぐに小十郎にも懐いてくれて、今では随分上手くやっていると思う。
家に帰って迎えてくれる者がいるというのはいいものだと、最近になってしみじみ思う。
「前田の坊主が来てるなら、明日はモーニングコールが必要か」
「おらがやろうか?」
小十郎が洗った茶碗をいつきが片づけていく。これもいつの間にか自然と分担するようになっていた。
「そうだな。少しばかり手厳しく頼む」
「判っただ」
二人は笑う。それは政宗が見ていたら、まるで親子みてぇだぜ。とでも言いそうな、そんな光景だった。
何気に前回の慶次の家出話からの続き。
結局慶次は政宗のトコへ転がり込みまシタ(笑)
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