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Trick or Treat!
この日は毎年、彼等にとって戦争だった
元親と元就は、いわゆる幼馴染みというヤツだ。もっとも元就はそれを忘れたい過去。と、二人の関係をその言葉で表わすと、露骨に眉をひそめて見下したような目をするのだが・・・
しかしそれだって、物心つく前から。というわけではない。たまたま家が近所で、歳も同じで、そうなれば自然と小中学校は決まるわけで・・・しかしむしろ、中学も一緒だったのが意外だと思っていたのは元親の方だ。変わり者ではあるが、元就ほどの優秀さであれば、私立の学校を選ぶことだって出来ただろうに。しかしその理由をなんとなくではあるが、他の誰よりも判っているのも元親だった。
並べば頭ひとつ分くらい違うんじゃないかという二人。元親は平均よりも背が高く、全体的にがっしりしている為に更に大きく見える。それとは逆に、身長は平均的ながら、華奢ともいえるほどに細い元就が元親の隣に並べば、嫌でも実際より小さく見えてしまう。
見た目も性格も対照的な二人だが、つかず離れず、やはり幼馴染み。という言葉が一番しっくりくる関係は、高校生になった今でも続いている。
神経質な元就に豪快な元親。この二人がなんで一緒にいられるのかといえば、何より元親のおおらかさ(大雑把で抜けてんだろ。とは政宗の談)と、意外な面倒見の良さが幸いしているのだろう。
「さて」
小さく緊張したように唾を飲み込み、ドアに手をかける。途端に悪寒がして、こっそりと玄関の魚眼レンズを右目でのぞいて見れば、そこには同じく大きく映った瞳・・・
「うわぁっ!」
どっから覗いてんだ、アイツ。ていうか年々手が込んできてんなちくしょう。
ぶちぶちとつぶやき、玄関を開けながら叫ぶ。
「トリックオアトリー・・・ぎゃ〜!何してやがるテメェ!」
「何とは?」
「いーからその手を離しやがれ!」
はて。と、涼しい顔をして、元就が手を離せば、逆さに吊り上げられていた猫がひらりと地面に降り立ち、一目散に元親の足元に逃げ出す。
「大丈夫か、信親〜」
「猫撫で声とはよく言ったものだな」
「てめぇ毛利!」
「Trick or Treat」
さらりと、そりゃもう完璧な発音で。
「どうした?」
にやり。と笑うその顔は、端正な分恐ろしい。
「・・・っ!」
てめぇ普段だったら絶対、こんな時間にこんな涼しい顔してねぇクセに!そう思い、悔しさに歯噛みしたところでどうしようもない。
「覚えてろよテメェ!」
捨て台詞とともに、クッキーをひと袋、投げ付けてよこした。
冷静沈着、秀麗眉目、そして冷血冷淡。それが周囲の毛利元就に対する評価である。そんな彼の一面を知るのは、ごく近しい者達だけだ。
「オレびっくりしちゃったよ〜あんな風に朝からシャキシャキ歩く元就って初めて見たかも」
その一。彼は極度に朝に弱い。もともと冷たい顔立ちをしているが、朝早く、まだ頭がはっきりと起きていない時の彼の視線は簡単に氷点下を越える。
「そういえば今日はいつもの重箱、持ってなかったな。大丈夫なのか?」
その二。元親よりも下手したら一回り近く小さく見える彼は、実はかなりの大食漢である。涼しい顔をして、その見た目からは考えられないほどの量をぺろりとたいらげる。
「何でも本日は、副食のアテがあるとか申されて、それは嬉しそうにしておりましたな」
慶次、政宗、幸村の、憐れみを込めた視線が一点に集中する。
「じゃかあしい!今度こそ負けねぇ!ていうか真田、テメェまでそんな目で見んなぁ!」
朝からさんざっぱら、元就にお菓子やら弁当やらをかすめ取られ、憔悴していた元親は、限界だとばかりにそう叫ぶと立ち上がり、息も荒く教室を出ていく。
「ハロウィンって、あーゆーもんだったっけ?」
「んなワケねェだろうが」
「元親殿・・・あれほどの菓子をあっさりと人に分け与えられるとは・・・」
政宗は、元親の背中を尊敬にも似た眼差しで見つめる幸村を見て、わずかに呆れたような溜息をつく。慶次も判っているのか、苦笑して肩をすくめて見せた。
相変わらずナナメ上をいく幸村の同情は別として、今日一日、負け続きな元親を、さてどうやって慰めてやろうかね。なんて思いながら、政宗と慶次は、元親が去った方に視線を戻し・・・
「くそう!覚えてやがれ!」
まるで三流の悪役みたいな悲鳴に溜息をついたのだった。
とりあえずギリギリ?でハロウィンネタでした。ていうかなんでチカとナリ(笑)他面子でも短いお話書くつもりだったんですが、思ったより長くなっちゃったんで厳しいかな〜? ということで、イベントレポも全部上がってないのについ書いてしまいました。 とりあえずハロウィンとエイプリールフールは、毛利がものっそい生き生きしてるといい。なんてふと思いついたのが原因です。ウチの学バサの毛利はなんでだか、いつの間にか胃袋がブラックホール(笑)な設定になってたもんで。 ちなみにお菓子を上げておかないと、いたずらをされます。元親の大事な工具やら機械やらコレクションを・・・という過去があったりなかったり。
とりあえずギリギリ?でハロウィンネタでした。ていうかなんでチカとナリ(笑)他面子でも短いお話書くつもりだったんですが、思ったより長くなっちゃったんで厳しいかな〜? ということで、イベントレポも全部上がってないのについ書いてしまいました。 とりあえずハロウィンとエイプリールフールは、毛利がものっそい生き生きしてるといい。なんてふと思いついたのが原因です。ウチの学バサの毛利はなんでだか、いつの間にか胃袋がブラックホール(笑)な設定になってたもんで。 ちなみにお菓子を上げておかないと、いたずらをされます。元親の大事な工具やら機械やらコレクションを・・・という過去があったりなかったり。
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