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神に選ばれた娘
独り戦うはさだめ
独り戦うはさだめ
「政宗様」
頬に傷のある男が、こそりと耳打ちをする。隻眼の侍はそれを聞くと頷いて、再びいつきを見下ろした。
「覚悟は決めたんだな」
頬を流れる涙を拭うことも出来ず、いつきは深く頷く。
「OK. しばらく大人しくしててくれよ」
青い衣を翻し、彼は頬に傷のある男と陣の奥へと向かう。このまま首を落とされることも覚悟していた。それなのに何もせず、それどころか、いくら縄をかけられているとはいえ、簡単に背中を向ける。不用心なのか剛胆なのか・・・もしくは、いつきには何も出来ないとたかを括っているのか。どちらにしろ、いつきに逃げる気はない。そんなことは出来ない。
「で、あの Girl が首謀者ってのは本当なんだな」
「首謀者というのでしょうか、あれは。ただ、中心となっていたのは本当のようです」
Ha と、軽く鼻を鳴らし、政宗は座り込む。実際に刀を交えたのだ。あの娘が只者でないことは、政宗が一番判っている。それでも、まだ彼女の口からそうだと聞いただけだ。不確かな情報を鵜呑みにすることは出来ない。
「彼等の調べでは、十中八九、あの娘が件の神の槌を振るう者で間違いはないようです」
まぁ、あんだけ目立つ Platinam blonde だ。間違いようはないな。と、呟きながら、政宗は苛々したように、時折膝を揺らしている。
「何か?」
「なぁ小十郎。一揆ってのは、仲間を売るようなマネをしねぇもんだろう」
ちら。と、幕一枚隔てた向こう側にいるであろう少女に視線を向ける。
「そうですね。本来なら」
しかし、彼女は中心人物。というよりも、象徴として祭り上げられていたらしい。本当か嘘か、そのために神からあの大きな槌を授かったというのだから、これ以上の象徴はないだろう。
「鬼子か・・・」
「知っておりましたか」
今回のことが起こる前に放っていた密偵により、簡単にではあるが、中心人物とされていた少女のことも調べがついていた。そのことは政宗には伏せていたのだが、さすがに主人は抜け目がない。
「それで?同情からことを納めるつもりですか」
「Ha!馬鹿なこと言うな。どちらにしろ、全てを滅ぼすつもりはねぇ。この土地は、奥州筆頭がいただく」
働くもんがいなきゃ、始まらねぇだろう?
そう言って、にやりと笑うその表情に、小十郎は苦笑する。
「あの娘の持っていた槌。男五人かかりでようやく運べるような代物でした。あれを振り回していたというのなら、神の授かり物というのもあながち嘘でもないかもしれません」
「知ってるさ。俺が刀を交えたんだからな。やたらと重い一撃だったぜ」
では、神殺しをなさるのか。と、さらりと言われて、肩を竦めた。
「俺は俺の信じるようにやる。今回はこれ以上口出しするなよ、小十郎」
主人の顔に何かを見て、小十郎は深く頭を下げる。この件に関しては、もう何を言ったところで政宗は引くことはないだろう。
それが、あのまだ幼い娘と、ひいては主人のためになるのなら。
もう少し続きます。
頬に傷のある男が、こそりと耳打ちをする。隻眼の侍はそれを聞くと頷いて、再びいつきを見下ろした。
「覚悟は決めたんだな」
頬を流れる涙を拭うことも出来ず、いつきは深く頷く。
「OK. しばらく大人しくしててくれよ」
青い衣を翻し、彼は頬に傷のある男と陣の奥へと向かう。このまま首を落とされることも覚悟していた。それなのに何もせず、それどころか、いくら縄をかけられているとはいえ、簡単に背中を向ける。不用心なのか剛胆なのか・・・もしくは、いつきには何も出来ないとたかを括っているのか。どちらにしろ、いつきに逃げる気はない。そんなことは出来ない。
「で、あの Girl が首謀者ってのは本当なんだな」
「首謀者というのでしょうか、あれは。ただ、中心となっていたのは本当のようです」
Ha と、軽く鼻を鳴らし、政宗は座り込む。実際に刀を交えたのだ。あの娘が只者でないことは、政宗が一番判っている。それでも、まだ彼女の口からそうだと聞いただけだ。不確かな情報を鵜呑みにすることは出来ない。
「彼等の調べでは、十中八九、あの娘が件の神の槌を振るう者で間違いはないようです」
まぁ、あんだけ目立つ Platinam blonde だ。間違いようはないな。と、呟きながら、政宗は苛々したように、時折膝を揺らしている。
「何か?」
「なぁ小十郎。一揆ってのは、仲間を売るようなマネをしねぇもんだろう」
ちら。と、幕一枚隔てた向こう側にいるであろう少女に視線を向ける。
「そうですね。本来なら」
しかし、彼女は中心人物。というよりも、象徴として祭り上げられていたらしい。本当か嘘か、そのために神からあの大きな槌を授かったというのだから、これ以上の象徴はないだろう。
「鬼子か・・・」
「知っておりましたか」
今回のことが起こる前に放っていた密偵により、簡単にではあるが、中心人物とされていた少女のことも調べがついていた。そのことは政宗には伏せていたのだが、さすがに主人は抜け目がない。
「それで?同情からことを納めるつもりですか」
「Ha!馬鹿なこと言うな。どちらにしろ、全てを滅ぼすつもりはねぇ。この土地は、奥州筆頭がいただく」
働くもんがいなきゃ、始まらねぇだろう?
そう言って、にやりと笑うその表情に、小十郎は苦笑する。
「あの娘の持っていた槌。男五人かかりでようやく運べるような代物でした。あれを振り回していたというのなら、神の授かり物というのもあながち嘘でもないかもしれません」
「知ってるさ。俺が刀を交えたんだからな。やたらと重い一撃だったぜ」
では、神殺しをなさるのか。と、さらりと言われて、肩を竦めた。
「俺は俺の信じるようにやる。今回はこれ以上口出しするなよ、小十郎」
主人の顔に何かを見て、小十郎は深く頭を下げる。この件に関しては、もう何を言ったところで政宗は引くことはないだろう。
それが、あのまだ幼い娘と、ひいては主人のためになるのなら。
もう少し続きます。
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