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徒然と小咄など。現在BASARA2メイン。 かなりネタバレや捏造もございます。御注意! あくまでも個人のファンサイトです。 企業様とは関係ありません。
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つきが ほしいと なく こども。
こちらは通常の伊達といつきで。

 真ん丸の銀色の月がきれいな夜だ。
 普段なら深い深い藍色に染まる空は、地面を埋め尽くす雪の白と、溢れ出した銀色の光でいつもより明るく、淡く見える。
 空気はぴんと張り詰めていて、白く吐き出す息までもが銀色に染まったよう。
 静かな夜だ。呼吸も、心音も、全て聞こえてきそうな夜。
 さく、さく。と、雪を踏む音がして、けれど振り向くことはせず、黙ってまっすぐに前を見る。
「小十郎さが、心配してただ」
「・・・ああ」
 なんで、ここだって思った?
 振り向いた姿を見上げて、いつきはしばらく考える。
「ざわざわしてただ。それに」
 指さした足元には、くっきりと足跡。そう深く積もっていた訳でもないから、一人歩いてここまで入った。
「Ah・・・そうか」
 どっか悪いだか?と、心配されてしまった。そりゃそうだ。こんなことにも気付かないなんて。
「こんなトコにずっといたら、寒くて凍えちまうぞ」
 言われて、何気なく伸ばされた指先に触れた途端、ひどく冷えていることに気付いた。
「お侍さんは、時々バカなことすんだな」
 仮にも奥州を統べる殿様に向かって言っていい言葉じゃない。でも勿論、政宗はそれを咎めないし、むしろ、距離を取られることを嫌う。
 だから、触れた小さな手を素直に取った。
「子供はあったかくていいな」
「ほら、またバカなこと言ってるだ」
 笑い飛ばされて、強ばったように頬が動くのが判った。
「満月に魅せられたらダメだ」
 連れてかれちまうぞ。
 半歩先を歩く小さな頭が揺れている。細かい雪の欠片が歩くたびに散って、きらきらと反射する。
 幼い頃に、あの月が欲しいと思った。手を伸ばしても届かぬ月に、己の現状を見ているようで、ただ悔しくて、意固地になって、欲しい、欲しいと駄々をこねた。

 バカなことだと判っていたけど。

 目の前を歩くこの少女は、何かを欲しいと泣いたことがあるのだろうか。
 彼女が泣いていたのを見た。己の非力を嘆き、護るために立ち上がり、そうして、涙を飲み込んで、己の中に溜め込んで。それが何なのかも判らないまま、それでも、飲み込んだ苦痛を人に向けず。
 この小さな体の中全て、どこかに己自身のためだけの涙があるのだろうか。
「いつか、あの月を Present してやるよ」
 ようやくいつものように、唇の端を軽く上げて皮肉げに笑うその表情を見て、またバカなこと言ってるだ。と、いつきは笑った。




なんとなく黄昏れてみた政宗(笑)
えーごがダメダメなので、どうにも普通に話してしまう・・・
そしてやっぱり私が書くと男キャラはヘタレになってしまうようです・・・

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