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いきなり逆転裁判4。かなり短くて本当に小咄。
ネタバレは・・・してる恐れもあるので(どの程度までがボーダーラインなのか、個人差もあると思うので)御注意ください。
ネタバレは・・・してる恐れもあるので(どの程度までがボーダーラインなのか、個人差もあると思うので)御注意ください。
某日某時刻。成歩堂なんでも事務所。
相変わらず乱雑とした部屋の中、たくさんの手品の道具や、滅多に使われることのないピアノの置かれた中央から少し視線を外せば、最近になってきれいに整えられた一角。
シンプルな机と椅子。整えられた本棚、そこに並ぶ分厚い書物。その一角は、最近彼が手に入れた彼の為の城ともいうべき場所だ。
世界がひっくり返る・・・というと大袈裟だが、これまでの人生から考えれば、まさにジェットコースター並のめまぐるしさで、彼を取り巻く環境が動いた。振り回されて、流されて・・・けれど最後には、きちんと自分で決めた。だから、時々早まったかな?なんて思うこともなくはないけれど、慣れてきたこともあって、概ね、今の状況に満足している。
なんでも事務所。とはいえ、目下のところ活動が盛んなのは主にみぬきのマジックショーで、王泥喜法介の元に舞い込む弁護依頼はさほど多くはない。けれど大黒柱ともいうべき成歩堂龍一は、さほど気にしてはいないようだった。
経験上ね、こう・・・厄介なことに巻き込まれるよりはいいんじゃない?って気がするんだよねぇ。
なんて、のんきなことを言っている。
確かにそれはそうだろうが、弁護士が弁護しなくて何をするというのか。
異義を唱えたところで取り合って貰える筈もなく、それでも彼は健気に毎朝発声練習を続けている。
そして現在、そんな成歩堂なんでも事務所のソファには、一人の青年が座っていた。
法介のよく知るあの人にそっくりな面ざし、けれどその口調や仕種は全く違っていて、歳の近い友人相手のように砕けている。
カガク捜査を愛する女刑事が「じゃらじゃら」と彼のことを呼んでいたのもうなずける。あんなにたくさん、重くないんだろうか。と思うほどに、彼はアクセサリーを身につけていて、中でも彼のトレードマークなのだろうか。アルファベットをモチーフにした胸元のアクセサリーが嫌でも目につく。
甘いマスクに柔らかな口調。スマートな仕種。悔しいが、女の子達が騒ぐのもうなずける。
そんな彼が、何故かライバルともいえる法介のところに来て、溜息をついているのはどういう訳なのか。
ティーパックの入ったカップにお湯を注ぎながら、法介は首をかしげる。
「ぼくはね、おデコくん。君のことは嫌いではないんだ」
「はあ」
共に真実を求める者同士の会話。という雰囲気ではない。法介は知っている。このスゴ腕の検事が、案外愚痴っぽかったり、苛つきを隠そうともしなかったりすることを。
「だけど時々、なんかこう、むっとくる時があるんだよね」
「そりゃぁ・・・スイマセン」
他に言葉が見つからなくて、曖昧に謝る。法廷では弁護士と検事という対極に位置するのだから、まぁそれも仕方ないだろうと思うのだが、どうも彼の言っているのは違う気がする。
「とにかく、どうぞ」
紅茶の入ったカップをテーブルに置く。クッキーなんて気の利いたお茶受けなんて、この事務所には勿論なくて、だからちょうど台所に置いてあったかりんとうを代わりに添えたのだが、それを見た途端、検事はじっと視線をそれから離さなくなった。
「これ」
「ああ、茜さんが食べてるの見てたら、なんか無性に食べたくなって買ったやつなんですが・・・あ、さっき封切ったばかりだから、シケてたりはしないですよ。多分」
ふぅん。とつぶやいて、そうして顔を上げた検事の表情が少しばかり強ばっているのに気付いた。
「それ、いつのことだい」
「え?」
「刑事クンと会ったって、君、今ぼくと同じ事件担当してないよね?いつのこと?」
「ああ、はい。会ったのは昨日ですけど、別に事件では・・・」
明らかに、検事の表情が面白くない。といっている。
え、何?オレ何かしたっけ?だって、茜さんと会ったのだってたまたまで、別に事件絡みじゃないから、前みたいに現場をちょこっと荒らしたりとかはしてないんだけど・・・
「やっぱり君のこと、100パーセントは好きにはなれないみたいだ」
「はあ」
えっと、それは、つまり・・・
「ヤキモチ・・・ですか?」
思わずぽろりと出た言葉に、検事は目を丸くした。やっぱり彼と似ているけれど、こういう表情をすると、同年代であることを実感する。
「ぼくが?なんで?」
そりゃあんた、あからさまじゃないですか。という言葉をかろうじて飲み込んだのは、本当に彼が意外そうな顔をしていたからだ。
ちょっと待って、え?何?
彼がかの女刑事、宝月茜にしょっちゅう軽い言葉をかけてはつれなくされているのを知っている。悪気がある訳ではなく、彼にとって女性をほめるのは当たり前のことらしく、だから多少のからかいを含んでいたとしても、その行動にさして疑問も持たなかったのだが・・・
自覚、ないんだ・・・
うっわぁ・・・と、心の中で声にならない声を上げる。きょとんとした検事の表情に嘘はなくて、思わず法介は、彼と、ここにはいない女刑事、どちらに同情すべきだろうか。と、考えてしまったのだった。
特に深い意味はなく、なんとなくな感じで。本人達の預かり知らぬところで、本人も自覚してない感情に気付いちゃった第三者ってこう・・・気苦労がありそうだなぁと。
オドロキくんは結構歳の割に達観してるトコありそうだなぁというところで。
ちなみに今更言うまでもなく、個人的にエアギター×検事プッシュなのです。実は検事のがひとつ年下ってのがちょっとツボだったりします(笑)
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