居心地のいい場所

P3P・双珠で、荒垣コミュ。

　話す。楽しかったこと。嬉しかったこと。思い出をなぞって、思い出して。少しでも・・・そう、少しでも長く、この時が続くように。
　何か楽しいことを。そう言って、言葉を挟むこともなく、静かに耳を傾けてくれるこの人の側に、居られるように。

　笑っていろと言う。その言葉に不快感を覚えることなんてなくて、ただ、時折見せる、どこか遠くを見るような視線や、微かに吐き出されるため息のような吐息。先のことを話そうとする癖。それらに不安を覚えるようになって、その回数が増えて・・・

　自分より頭ひとつ分より大きな筈のその姿が、時折、風に揺られて消えて散ってしまいそうな錯覚に陥るようになることがあって。自分でもバカみたいだと思うけど、拭いきれない予感がこびりついて離れなくて。
　だから、もう少しだけ。この居心地のいい空気とともに、側に居たいと思って、まだ半年しかない、この街に来てからの出来事。その記憶を必死で辿る。
　初めての寮生活、思ってもみなかった影時間での冒険。大変なこともたくさんあるし、楽しいばかりじゃない筈なのに、こうして言葉として表してみると、ひどく印象深くて・・・
　そして何より、そういった話の端々で、隣に座る荒垣が小さく笑ってくれたりするのが嬉しくて。
　じんわりと染みるように、心に広がっていく。これが、心地いい。という感覚なんだと自然に思えた。

　もう少し。もう少しだけでいい。この時間が終わってしまわないように。双珠は一生懸命、言葉を紡ぐ。