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彼女はちょっとした一人旅に行きました。
「あれ?一人かよ」
「何だよ、俺が一人じゃ悪いのか」
土曜日夕暮れ。以前より少しだけ長くなった夕方。道の先に居た知り合いに声をかけられて第一声がこれだ。
「や、なぁんかこう、休みの日って、大概一人じゃない気がしてな」
なんだよ、それ。と苦笑する政宗を見下ろして、元親は、もう一度辺りを見回す。
「おチビちゃんは一緒じゃねぇの?」
「ああ」
そういうことか。と、政宗も合点がいったようだ。
「あいつはじーさんトコに泊まり行ってる。連休だしな。たまには顔出せって連絡来たんだと」
「お前は行かなくていいのか?」
「何で俺が?」
「だって、じーさんなんだろう?」
「そりゃあ・・・ああ」
そういやそうか。と、一人納得したように、少しだけうつむいた政宗の表情が、元親からは少し見辛い。政宗も平均以上だが、元親はそれより更に背が高い。同じ目線で見られるのは慶次くらいで、だから相手にうつむかれると、表情がよく見えなくなることが多い。
「俺のじーさんじゃねぇからな」
いつきの後継人だよ。と、あまりにもさらっと言われたので、元親は一瞬、そのままスルーするところだった。
「あぁ!?ええと、おチビちゃんのじーさんが後継人でって・・・」
家族、や、祖父。ではなく、わざわざそんな言葉を選んで使う。その理由を察することが出来ないほど、元親だって鈍くはない。
「まぁ、その言い方には語弊があるか。形式上は養父ってことになってるからな」
「・・・お前、いくらおチビちゃんでも、プライバシーとか考えてやれよ」
呆れたような元親の口調には、同情とかそういったものはなく、普段と変わらなかったから、政宗は笑った。
「お前のそーゆーとこ、やっぱ悪くねぇな」
「あぁ?」
これが幸村辺りだったら、狼狽してアワアワしてるんだろうなぁ。と、考えて思わず笑みが漏れる。きっとそれでも、幸村も何も変わらないのだろうけど。
そういう奴等なのだ。政宗と、いつきの傍にいるのは。
「・・・で、鬼の居ぬ間に洗濯か」
「ここんトコ、健康的だったからな。たまには不健康なのもいいだろ」
向き合えば、鏡合わせのような二対の隻眼。悪戯めいた光を宿し、二人してにやりと笑い合う。
「今から捕まると思うか?」
「慶次辺りは確実だろ。あとは・・・」
携帯電話を取り出して、電話帳から番号を引っ張り出す。連休初日、どうやら今夜は賑やかになりそうだ。
人はこれを 現 実 逃 避 と言うんですよ。
久しぶりの学バサでゴザイマス。実はGW前にちらりと浮かんだお話があって、それのおまけみたいなもんだったんですがね。本来のネタは、いつきちゃんの位置づけなんかをはっきりさせたいな〜と思ってたので、そのへんを含んだお話の予定でした。
いつもだったらこーゆーのって慶次に片寄りがちなんですが、敢えて別の人でいくとしたら・・・と考えて、アニキに出ばってもらいました。アニキ書くのは久しぶりかな?なんかこう、東西アニキは台詞の応酬が楽しいです。
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