×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
続いて毛利。
■毛利の兄ちゃんと一緒■
「届かぬのなら、頭を使え」
伸ばした指先はあと5センチ足らなくて、それでもあとちょっと。と思うと、ついつい背伸びで頑張ってしまう。
無駄なことをしているな。と、相変わらずの冷たい口調で。けれどそう言いながらも、その本を手にして取ってくれる。
「あ、ありがと・・・」
「貴様に取ったと誰が言った?」
差し出した手に手渡すでもなく、毛利は本を宙にかかげる。
「なっ!またそんなイジワル言ってっと、誰も信じてくれなくなるべ」
彼が手にしているそれは明らかに絵本で、本来ならこんな高い位置に配置されるべきではないもの。おそらくは誰かが適当に差し込んだのだろう。戻しておこうと思っただけなのだが、こんな風に意地悪されるとムキになってしまう。
「そうだな」
彼が手にした絵本に視線をやるのを見て、いつきはなんだか申し訳ないような気持ちになった。
「ごめんだべ・・・でも」
ふぅ。と小さな溜息。少し節目がちな一重のすっとした目。冷たい言葉にそっけない態度。そんな彼がふっと小さく笑う。
「ウソはほどほどにしておこう。騙される奴が全くいないというのも退屈だ」
どうして素直に言わないのだろう。彼が友と一緒にいる時に、つまらないなんて思ってもいない筈なのに、それを「楽しい」と言うのが嫌だという天の邪鬼。
「感謝されるのが恥ずかしいだか?」
「っ・・・馬鹿を言うな」
そう言って、押し付けるように絵本を渡して去る彼の態度は明らかに焦っていて、だから子供は嫌なんだ。とつぶやく声は聞かなかったことにしてあげた。
冷たくて、たまにちょっと嫌なことを言われることもあるけれど、嫌いだとは思わない。
「届かぬのなら、頭を使え」
伸ばした指先はあと5センチ足らなくて、それでもあとちょっと。と思うと、ついつい背伸びで頑張ってしまう。
無駄なことをしているな。と、相変わらずの冷たい口調で。けれどそう言いながらも、その本を手にして取ってくれる。
「あ、ありがと・・・」
「貴様に取ったと誰が言った?」
差し出した手に手渡すでもなく、毛利は本を宙にかかげる。
「なっ!またそんなイジワル言ってっと、誰も信じてくれなくなるべ」
彼が手にしているそれは明らかに絵本で、本来ならこんな高い位置に配置されるべきではないもの。おそらくは誰かが適当に差し込んだのだろう。戻しておこうと思っただけなのだが、こんな風に意地悪されるとムキになってしまう。
「そうだな」
彼が手にした絵本に視線をやるのを見て、いつきはなんだか申し訳ないような気持ちになった。
「ごめんだべ・・・でも」
ふぅ。と小さな溜息。少し節目がちな一重のすっとした目。冷たい言葉にそっけない態度。そんな彼がふっと小さく笑う。
「ウソはほどほどにしておこう。騙される奴が全くいないというのも退屈だ」
どうして素直に言わないのだろう。彼が友と一緒にいる時に、つまらないなんて思ってもいない筈なのに、それを「楽しい」と言うのが嫌だという天の邪鬼。
「感謝されるのが恥ずかしいだか?」
「っ・・・馬鹿を言うな」
そう言って、押し付けるように絵本を渡して去る彼の態度は明らかに焦っていて、だから子供は嫌なんだ。とつぶやく声は聞かなかったことにしてあげた。
冷たくて、たまにちょっと嫌なことを言われることもあるけれど、嫌いだとは思わない。
PR
天野宇宙にコメントする