いつきと政宗

　ラストは政宗。いつきちゃん、夏休みのある一日でした。

　■政宗と一緒■

「おかえり」
「ただいまだべ！」
　家に戻ればそこには当然のように政宗がいて、冷たい紅茶とロールケーキが準備されていた。
「いつき、お前幸村のことあそこン家の忍者にleakしたろ？」
　にやにやと意地悪くも見える笑いを唇の端に浮かべて言う政宗に、いつきは少し怯んだ。
「だって、おら知らなかっただよ」
　政宗こそ、宿題もしないで遊んでばっかじゃダメだべ！と反論すれば、そんなもん、とっくに終わってる。と返された。
「当ったり前だろ？慶次や幸村じゃあるまいし、そんなもん、あっためといたって後で大変なだけじゃねぇか」
　そういえば、政宗は勉強もそこそこ出来たのだと思い出す。ちなみにそこそこ。というのは本人の言い分で、小十郎に言わせれば充分すぎるほどに優秀だという。
「天罰だ。いっつもおらを置いて皆で行ってしまうんだもの」
「そりゃあ・・・Sorry. そうだよな。除け者はつまんねぇよな」
　じゃあ今度は、一緒に連れて行ってやるよ。と、言われて、思わず飛びついてしまう。
「本当け？おら、去年より泳げるようになったんだ。見てくれるだか？」
「そりゃすげえ。楽しみだな」
　ぐしゃぐしゃと頭を撫でて、それから気づいたように手が止まる。
「髪、直してやるよ」
「うん！」
　暑くてひとつにまとめて結っていた髪をといて、直してもらう。
　政宗の手はやっぱり男の人の手だから大きくて、チカちゃんよりはやや小さめかもしれないが、指の長さでは政宗の方が上なんじゃないかと思う。
　ブラッシングをして、いつものように髪を三つ編みに直してもらって・・・
　それから、今日はこれから何をしようか。と、暑くなっていく午後のことを話す。
　部屋の中は涼しくて、けれどセミの鳴き声も煩いくらいの外に飛び出すのが楽しい毎日。
　友達がいる。家族のような人がいる。それだけで毎日が幸せで、だからいつきは今日も笑う。

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　一枚のペーパーに、3段で、それぞれのキャラクターといつきちゃんの絡みを小咄に。という作りでした。夏休みって、子供の頃は一日に色々なことが出来てたような気がします。
　ところで、今でも夏休の午前中に、小学校のプールってあるんでしょうかね〜？

　この話に珍しく慶次がいないのは、同時に出した新刊が、学バサの慶次と幸村メインのお話だったからです。ブログだけで見ると、幸村出番少なめですね。ウチ。