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美味しいもので幸せ計画 その一
美味しい物を食べる時、人は自然と笑顔が浮かぶものだ。
用意したのは野菜と、今朝仕留めたばかりの猪の肉。
「さて、今日はどっちにしようかね〜」
味噌と醤油。どっちの風味にしようか悩んで、そういえば昨日はすまし汁だったな〜なんて思ったものだから、結局味噌に決めた。
しっかり下味を整え、大きな鍋を準備する。
「しっかし⋯こうして見るとホント、ふつーじゃないよねぇ」
大きな鍋。まさにその一言に尽きる。それこそ普通の鍋の五倍はあるんじゃなかろうか。という大鍋を抱え、よっこいせ。と、しつらえたかまどの上に置いた。
遠くで自分の主人とその主人が大声で名を呼び合う声がする。ああまた殴り合いだねぇ。なんて、もう呆れるのも通り越して当たり前になってしまった。
いい天気だから、外で食べる御飯は美味いでしょう。だいぶ暖かいけど、これ以上なく暑苦しいあの人達なら、もっと熱いものでも構わないか。なんて、かなり部下としてはシツレイなことを考える。
野菜と肉を味噌味の出汁で煮込み、そろそろ頃合かな。と思ったところでほうとうをぶち込む。
「旦那方〜!そろそろ御飯だよ〜」
一応声をかけて、やっぱり戻って来る様子はないか。と、腰を上げる。
「俺様、炊き出しのために忍やってるんじゃないんだけどねぇ」
そういえば、かすがや風魔はどうなんだろう?と、同じく忍の者達のことを考える。
「あいつら、お人好しそうだからな〜特にかすがちゃん」
料理はどうだったんだっけ?なんて思いながら、口笛をひとつ。使いの鳥を呼び寄せて、その足に合図の紐を結んだ。ついでに言づても一言。
『早く戻ってこないと、美味しいところ、食いっぱぐれるからね』
そうして鳥を空に放った。
「はい、参、弐、壱・・・」
「佐助〜!佐助さすけぇぇ!!」
はい、時間通り。と、佐助は鍋の蓋を取る。途端に辺り一面にいい香りが広がった。
「はーい、大将に旦那。おかえり」
おお!今日はほうとうでござるか!と、よだれを垂らさんばかりの勢いで目を輝かせ、鍋を覗こうとした幸村を止めて、川を指さす。
「御飯の前にはきちんと手を洗って、その汚れた顔もきれーにして、それまで御飯はお預けです」
佐助は相変わらずだのぅ。と豪快に笑いながら、信玄も言われた通り幸村の隣に並んで二人、川辺で汚れた顔を洗う。
雲一つないような、そりゃもうこれでもかってくらいの青空の下、普通だったら10人前以上あるんじゃないかと思えるような量の鍋を三人で囲んで御飯を食べる。
火を上手いこと調節して、鍋が冷めてしまわないよう気をつけながら、佐助は大きな椀にほうとうと野菜や肉を盛った。
いただくでござる!と元気な返事。まずは佐助、それから幸村、そうして最後に信玄がそれぞれ己の椀に口をつける。もうその後は三人で(というよりも主に二人で)争うようにほうとうをすすり、野菜を、肉をかき込んで咀嚼して飲み込んで・・・
その勢いに苦笑いしながらも、佐助もまんざらではない。忍が作ったものなんて、本当ならもっと疑ってもいいだろうに。もっともそんなことを言ってたら、おそらく幸村は栄養失調で倒れるに違いない。
だってこの人ってば、血ィあれだけ流しても、一人にしといたら団子やらまんじゅうやらしか食べないじゃないの。肉や魚を食べないと、流したと同じだけの血は補充出来ないでしょうが。
呆れたように笑って、彼が包丁を取るようになったのはもういつの頃からだったか・・・
用心のために普段はどうしても温かい物を口に出来る機会の少ない信玄が、何やら面白いことをしているな。と、顔を出すようになったのももうかなり前のこと。そういえばあの時から大将ってば、あんまり警戒してなかったね。と、やっぱり思い出して苦笑する。
大将首ふたつに忍頭。もっとも、彼等のことを知っている者はそうおいそれと手を出せやしないのだろうが、それにしても緊張感のないことこの上ない。
最初は二人。それから三人。元は真田の屋敷の庭先だったのが、今ではこうして広い場所で。鍋は最初は普通の大きさだったのに、気が付けば特注品の大鍋になってるし・・・
それでも、美味しいといって笑うこの時間は嫌いじゃない。
空になった鍋を川で洗い、幸村はそれを頭にかぶるようにして持って来る。あーあー、ぽたぽた水垂れてんじゃないの。と笑いつつ、じゃあ丁度良いからそこ立ってて。と、消して土をかぶせた簡易かまどの跡を指させば、 了解した!と、真面目に答えて、幸村はそのままそこに立った。しかし勿論、そんなもので間に合うわけもなく、佐助は信玄が汲んで来た桶の水を受け取る。
「旦那。もういいよ」
幸村がどくと、そこに水をかける。 確かに火が消えたことを確認して、さて。と、ひとつ大きく伸びをした。
さて、今度は何にしましょうかね。と、背中に鍋を背負ったまま馬に乗る幸村と、その隣で馬に乗る信玄の背中を見下ろしつつ、佐助は使いの鳥を呼び、風に乗った。
本日もごちそうさまでした。
特に深い意味はなく。ただ単に、そういえば美味しい物食べる時って、思わず笑っちゃうよね・・・とか思ったのがきっかけでした。きっかけは愛のエ●ロン(笑)
実は色々使われてる幸村。そして何気に使われてるお館様。
ほうとうは味噌風味の方が味があって美味しいと思うのですがどうだろう?
次回は伊達軍といつき・・・の予定。
用意したのは野菜と、今朝仕留めたばかりの猪の肉。
「さて、今日はどっちにしようかね〜」
味噌と醤油。どっちの風味にしようか悩んで、そういえば昨日はすまし汁だったな〜なんて思ったものだから、結局味噌に決めた。
しっかり下味を整え、大きな鍋を準備する。
「しっかし⋯こうして見るとホント、ふつーじゃないよねぇ」
大きな鍋。まさにその一言に尽きる。それこそ普通の鍋の五倍はあるんじゃなかろうか。という大鍋を抱え、よっこいせ。と、しつらえたかまどの上に置いた。
遠くで自分の主人とその主人が大声で名を呼び合う声がする。ああまた殴り合いだねぇ。なんて、もう呆れるのも通り越して当たり前になってしまった。
いい天気だから、外で食べる御飯は美味いでしょう。だいぶ暖かいけど、これ以上なく暑苦しいあの人達なら、もっと熱いものでも構わないか。なんて、かなり部下としてはシツレイなことを考える。
野菜と肉を味噌味の出汁で煮込み、そろそろ頃合かな。と思ったところでほうとうをぶち込む。
「旦那方〜!そろそろ御飯だよ〜」
一応声をかけて、やっぱり戻って来る様子はないか。と、腰を上げる。
「俺様、炊き出しのために忍やってるんじゃないんだけどねぇ」
そういえば、かすがや風魔はどうなんだろう?と、同じく忍の者達のことを考える。
「あいつら、お人好しそうだからな〜特にかすがちゃん」
料理はどうだったんだっけ?なんて思いながら、口笛をひとつ。使いの鳥を呼び寄せて、その足に合図の紐を結んだ。ついでに言づても一言。
『早く戻ってこないと、美味しいところ、食いっぱぐれるからね』
そうして鳥を空に放った。
「はい、参、弐、壱・・・」
「佐助〜!佐助さすけぇぇ!!」
はい、時間通り。と、佐助は鍋の蓋を取る。途端に辺り一面にいい香りが広がった。
「はーい、大将に旦那。おかえり」
おお!今日はほうとうでござるか!と、よだれを垂らさんばかりの勢いで目を輝かせ、鍋を覗こうとした幸村を止めて、川を指さす。
「御飯の前にはきちんと手を洗って、その汚れた顔もきれーにして、それまで御飯はお預けです」
佐助は相変わらずだのぅ。と豪快に笑いながら、信玄も言われた通り幸村の隣に並んで二人、川辺で汚れた顔を洗う。
雲一つないような、そりゃもうこれでもかってくらいの青空の下、普通だったら10人前以上あるんじゃないかと思えるような量の鍋を三人で囲んで御飯を食べる。
火を上手いこと調節して、鍋が冷めてしまわないよう気をつけながら、佐助は大きな椀にほうとうと野菜や肉を盛った。
いただくでござる!と元気な返事。まずは佐助、それから幸村、そうして最後に信玄がそれぞれ己の椀に口をつける。もうその後は三人で(というよりも主に二人で)争うようにほうとうをすすり、野菜を、肉をかき込んで咀嚼して飲み込んで・・・
その勢いに苦笑いしながらも、佐助もまんざらではない。忍が作ったものなんて、本当ならもっと疑ってもいいだろうに。もっともそんなことを言ってたら、おそらく幸村は栄養失調で倒れるに違いない。
だってこの人ってば、血ィあれだけ流しても、一人にしといたら団子やらまんじゅうやらしか食べないじゃないの。肉や魚を食べないと、流したと同じだけの血は補充出来ないでしょうが。
呆れたように笑って、彼が包丁を取るようになったのはもういつの頃からだったか・・・
用心のために普段はどうしても温かい物を口に出来る機会の少ない信玄が、何やら面白いことをしているな。と、顔を出すようになったのももうかなり前のこと。そういえばあの時から大将ってば、あんまり警戒してなかったね。と、やっぱり思い出して苦笑する。
大将首ふたつに忍頭。もっとも、彼等のことを知っている者はそうおいそれと手を出せやしないのだろうが、それにしても緊張感のないことこの上ない。
最初は二人。それから三人。元は真田の屋敷の庭先だったのが、今ではこうして広い場所で。鍋は最初は普通の大きさだったのに、気が付けば特注品の大鍋になってるし・・・
それでも、美味しいといって笑うこの時間は嫌いじゃない。
空になった鍋を川で洗い、幸村はそれを頭にかぶるようにして持って来る。あーあー、ぽたぽた水垂れてんじゃないの。と笑いつつ、じゃあ丁度良いからそこ立ってて。と、消して土をかぶせた簡易かまどの跡を指させば、 了解した!と、真面目に答えて、幸村はそのままそこに立った。しかし勿論、そんなもので間に合うわけもなく、佐助は信玄が汲んで来た桶の水を受け取る。
「旦那。もういいよ」
幸村がどくと、そこに水をかける。 確かに火が消えたことを確認して、さて。と、ひとつ大きく伸びをした。
さて、今度は何にしましょうかね。と、背中に鍋を背負ったまま馬に乗る幸村と、その隣で馬に乗る信玄の背中を見下ろしつつ、佐助は使いの鳥を呼び、風に乗った。
本日もごちそうさまでした。
特に深い意味はなく。ただ単に、そういえば美味しい物食べる時って、思わず笑っちゃうよね・・・とか思ったのがきっかけでした。きっかけは愛のエ●ロン(笑)
実は色々使われてる幸村。そして何気に使われてるお館様。
ほうとうは味噌風味の方が味があって美味しいと思うのですがどうだろう?
次回は伊達軍といつき・・・の予定。
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