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徒然と小咄など。現在BASARA2メイン。 かなりネタバレや捏造もございます。御注意! あくまでも個人のファンサイトです。 企業様とは関係ありません。
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ちょっぴり破廉恥風味かも・・・かも?

 慶次の叔父夫婦の経営する喫茶店はオフィスや学校の集中している場所にあり、日曜よりは平日の方が客が多いので、定休日は毎週日曜日になっている。
 そして日曜でお休みにも関わらず、その日は中でにぎやかな声がしていた。


「すっごいツリーだべ」
「な〜。利が知り合いから分けて貰ったんだって。こりゃ、精一杯着飾ってやらなきゃ可哀想だって思うだろう?」
 大きなツリーの前で目を輝かせているのはいつきと慶次、そして幸村だ。
「本当に某もよろしいのか?」
「うんうん。やっぱ楽しいことは大勢のがいいっしょ」
 ついでにちょっと期待もしちゃってるしさぁ。と、ちらりと視線を向けた先には、ツリーの飾りを手に取った佐助がいる。
「はいはい。俺様、腕ふるわせていただきますよ〜。旦那、良かったねぇ、パーティーにお呼ばれなんて、滅多にないからね」
「うむ!頼むぞ佐助!」
 小学生と同レベルではしゃいでいる二人とはまた別に、目を輝かせている者もいる。
「こっちをこう繋いで・・・おら、どうだ!」
 電飾を飾り付け、試しに電源を入れてみて、思った通りの形になっていることに、元親は満足そうに頷く。その隣で黙ったまませっせと折り紙のわっかを作っているのは毛利だ。
「何故我がこのようなことを・・・]
 ぶちぶち言いながらも、その手は正確に同じ大きさ、間隔で輪を繋げていく。
「文句言うなよ。人一倍食うくせに」
 何やら料理の本を持ってキッチンから出て来たのは政宗で、佐助を手招きすると、ぐるりと部屋の中を見回した。
「全然進んでねぇじゃねえか!夕方までに間に合わせねぇと、明日のParty はcancel になっちまうぞ」
 その一言で、皆ハッとしたように動き出す。何しろ今回のことに関しては、食の部分を取り扱う政宗と佐助には逆らえないのだ。日頃恋だ何だと言っている慶次も例外ではなく、結局のところ、皆、食べ盛りの花より団子。なのである。


 慶次の「クリスマスパーティーやらない?」という何気ない一言から始まった今回のパーティー企画は、年末前に丁度日曜と祝日の連日を休みにするという慶次の叔父夫婦が場所を提供してくれたことで一気に盛り上がりを見せた。
 広い場所に大きなツリー、業務用オーブンまでもがあるキッチンまで揃っているのだから文句はない。普段挑戦出来ないようなメニューに挑戦出来ると、政宗も佐助も内心ほくそ笑んだのは、他の面子には秘密だ。
 時期が時期だし・・・と思いつつも誘ってみれば、集まったのはいつもの面子で、何だよ、この中の一人くらい、彼女と一緒だから・・・とか言う奴いないのかよ〜と、慶次をぼやかせた。
 妙に凝った電飾と、まるでおゆうぎ会の時のような色紙のわっか飾りと、ツリーには様々なオーナメントに混じって、短冊が飾られたりしているのはまぁ、よくある勘違いというやつである。
 ツリーの天辺の星は、いつきが慶次と元親に抱えてもらってつけた。それだけでもうクリスマス!という気分でいっぱいになる。
「明日が楽しみだべ〜」
 心底嬉しそうないつきの様子を見て、皆が笑う(毛利は相変わらず傍目にはよく判らなかったが)
 全ての電源と火の元を確認して、皆で店を出ると、慶次が鍵をかける。明日は調理担当の政宗と佐助以外の者達は、それぞれお菓子などを持ち寄って、昼に集合することになっている。慶次から鍵を預かると、政宗といつきは連れ立って、家へと帰って行った。

「・・・で、プレゼントは決まってんだろうな」
 二人がいなくなると、一旦別れた筈の彼等は再び集まって頭を寄せあう。何となくだが、この企画が持ち上がって、いつきが参加すると聞いた時から、皆それぞれ、いつきにはプレゼントを、と考えていたらしい。やはりまだ小学生なのだし、それくらいはしてやろう。という気分になったのだ(主に慶次、元親、佐助がだが)しかしモノが被るとそれはそれで気まずいので、こうして直前になって、相談しあうことになったのである。
「俺様と真田の旦那からはこれね。小銭入れと手袋」
「オレはこれ、髪飾り」
 相変わらずこういうセンスはいいねぇ。と、元親は、慶次が選んだという髪飾りを見て楽しそうに笑う。
「ほら、お前も」
 渋々といったように、毛利も袋に入っていたものを差し出しす。それはきれいな色の表紙の小さな本で、どうやら詩集のようだった。
「んじゃ、これ全部預かっとくな」
「じゃあ俺からは、これな」
 背後から、元親の頭に包みが乗せられる。
「「「政宗(どの)!?」」」
 驚く元親と幸村、慶次とは違い、佐助は苦笑いし、毛利は相変わらず顔色ひとつ変えない。
「秘密にしたいなら、慶次と幸村にはギリギリまで教えないでおくんだな。何か企んでるのがバレバレだ」
 まぁ、いつきの奴は気付いてないようだがな。と、付け加え、政宗は包みを改めて元親に預ける。
「頼んだぜ、サンタクロース代行」
「おうよ」
 じゃあ、いつきを待たせてるから。と、政宗はすぐに軽い足取りでその場を後にする。他の面々も、また明日。と言ってそれぞれに別れた。



「メリークリスマス!」
 街のあちこちからこの台詞が聞こえてくる。とにかく何かにかこつけてイベントとして楽しむ無節操さは、この国特有なのかもしれない。
 実際本番は25日の筈なのに、最近ではクリスマス・イブの24日の方が本番のような扱われっぷりで、こうなってくると本当に、「クリスマス」というものの意義やら何やらが可哀想な気分にすらなってくるが、それはそれ。やっぱり楽しいものは楽しい。こういうのは乗ったモン勝ちだ。

 テーブルの上にはたくさんの料理と、それぞれが持ち寄ったお菓子。飾ったツリーも電飾もバッチリだし、文句のつけようがない。一応未成年ということで、さすがに飲み物はアルコール抜きのシャンパンだが(さすがに小学生の前でそれはない。というくらいの常識は働いている)とにかく食べて、騒いでいつもと同じこと。と言われたら反論は出来ないが、やはりお祭り。いつもよりもずっと、皆の心も浮かれている。
 誰か何かやれ〜!という野次から始まったそれぞれの出し物はそりゃもうぐっだぐだで、それでもまたそれが笑いの引金になったり、かと思えば、佐助の見事な手品(まがい)やら曲芸もどきやらにやんややんやと手を叩き、いつきが真っ赤になって、それでも一生懸命、学校で習ったという歌を歌えば、盛大な拍手をし・・・そうしているうちに、これでもか!というくらいに揃えられた食事も気がつけばほとんどなくなり(主に慶次と毛利と幸村の腹に収まったと思われる)一息ついたところで、ある意味主役とも言えるケーキが冷蔵庫から引っ張り出されたところで、いつき以外の皆が顔を見合わせてにやりと笑う。不思議に思って見回しても、皆笑うばかりで何も言わない(ちなみに幸村の口は先手を打って佐助が塞いでいた)そういえば元親の姿がいつの間にか見えない。と思ったところで、ぱぁんっと、派手すぎるほどのクラッカーの音。
「おうおう野郎共!良い子にはお待ちかねのプレゼントだぜ!」
 お約束の赤い服に身を包み、大きな袋を肩に担いだ元親が威勢のいい台詞と共に現れれば、慶次や政宗は口笛を吹くし、幸村は目を輝かせて、元親殿、よく似合うでござる!と大興奮したように拳を握り締め、ふん。道化には似合いの恰好だな。と、毛利は鼻で笑う。
「ていうか、それじゃまるっきりなまはげだよ」
 登場時の台詞に茶々を入れ、それでも拍手をしながら佐助も苦笑する。
 大柄でガラの悪い口調のサンタクロースは、足音も荒くいつきの傍に寄ると、その頭をわしわしと撫でた。
「この中で良い子はお前だけみてぇだからな」
 そう言うと、いつきの前に視線を合わせるようにしゃがみこみ、担いでいた袋を下ろして口を開ける。そこには中身が見えるように可愛らしいラッピングをほどこされたプレゼントが丁度六つ・・・いつきを除いた全員分の数だけ入っていた。
「これはオレから」
 慶次がその袋の中からひとつの包みを取り出す。そうして、開けていい?と、いつきに了解を得て包みをほどくと、髪飾りを結んだ髪の根元に差し込む。
「こっちは俺様からね。無駄遣いはダメだよ」
 慶次と入れ替わり、首にかけられるタイプの小銭入れを、佐助がかけてやる。そしてその横から、幸村がいつきの手を取った。
「これは某から・・・毎日寒いであろう?使ってくだされ」
 まるでお姫さまにでもするかのように、いつきの小さな手に手袋をはめる。そんな幸村の頭の上から、毛利がそっぽを向いたまま、手にした本を差し出す。
「普段触れぬものに触れるのもよかろう」
 いつきは呆然としたような表情のまま、それを受け取る。するとその後ろから、肩に何かがかけられた。
「こいつは俺から。まるでprincess みたいだぜ」
 淡い色の暖かいケープ。そうして最後に、しゃがみこんだままの元親が袋から取り出したのは、可愛らしいバッグだった。
「フェイクファーだけどな。結構悪かないだろう?」
 ちょっと洒落た、ふわふわのファーで出来たハンドバッグは丁度いい大きさで、いつきのためにあつらえられたのだとすぐに判る。
「貴様、年々芸が細かくなるな・・・」
 やや眉をひそめて毛利がつぶやいた言葉は、おめでたいこの日だと聞き流すことにしたらしい。元親は、それがいつきに似合ったのが満足だと言わんばかりに、右から左から、眺めてはうんうん。と、一人うなずいていた。
「あ、ありがとうだべ・・・だども、おら、皆になんにも・・・」
「いいんだよ。今日はそういう日なんだから」
 感激のあまり、涙声になりそうないつきの頭を軽く叩き、政宗は笑う。
「礼がしたいのか」
 ふむ。と、毛利が何事かうなずくと、いつきを手招きして、何事か耳元に囁く。うんうん。とうなずいていたいつきは、少しだけ頬を赤らめて、それでも真剣に毛利の話を聞き、そうして彼が指さす方を見た。
「幸村の兄ちゃん」
「何でござる?」
 突然声をかけられ、振り向けば、いつきが背伸びをし、手を伸ばして、幸村の首に抱きついた。不意打ちだったのと、もともと子供にしては力のあるいつきのこと。ぐっと前によろけたところで、すぐ近くにいつきの顔が寄る。そして・・・
「っ!?」
 すぐにいつきは離れて、恥ずかしそうに小さく舌を出して笑い、ありがとう!と一言。一瞬惚けたようになっていた幸村だったが、すぐにそれを理解すると、首まで真っ赤になり、我を忘れて叫んでいた。
「いつき殿!?」
 いつきはそのままくるりと後ろを振り向き、幸村の様子を指さして笑う慶次に飛びつく。
「慶次兄ちゃんも、ありがとう!」
「おっと」
 飛びつかれてもこちらはよろめきもせず、突然のこととはいえ、スマートにその頬にキスを受ける。
「忍の兄ちゃんも、ありがとう!」
「俺様も?こりゃ役得だね」
 慶次の腕からひょいと飛び下りて近づいて来たいつきの前に軽く身を屈めて、届き易いようにしてやると、佐助も頬にキスを貰う。
「チカちゃんも、ありがとう!」
「おっと!ほら、転ぶなよ」
 駆け寄って来たいつきをしゃがんだまま受け止めて、余裕のある笑みを浮かべる。そんな元親の額に、いつきはキスをした。
「いつき殿!そのように己を安売りするような真似は・・・!」
「はいはいはい、旦那、落ち着こうね。それにしても毛利さんてば、お〜もしろいこと、思いついてくれちゃうね〜」
 どうどう、と、幸村をいなしながら、佐助が苦笑いすると、毛利はそれみたことか。というように勝ち誇った笑みを浮かべてみせる。
「毛利の兄ちゃんも!」
「なっ!」
「おう!やれやれ〜!」
「やっちまえ!ほれ!」
 よもや自分までもが対象に含まれているとは思ってもいなかったのか、毛利は狼狽えて後ずさりする。その背後から政宗が押さえつけると、慶次は野次を飛ばし、元親はいつきをたきつけた。
「ありがとな!」
「ちょっと待て!計算してないぞ!」
「往生際悪いぜ、毛利」
 いつきはその頬に軽くキスをして、えへへ〜と、笑う。
「政宗も」
「come on !」
 ぐったりとした毛利を押しのけ、両手を広げていつきを受け入れる。そんな政宗の腕に飛び込むと、いつきは少しだけ考えて、それからその鼻の頭にちゅ。と、軽くキスをした。
「ありがとう!」
「You are welcom」
「は、は、破廉恥でござる〜!政宗殿!破廉恥でござるぞ!」
「Shit up!妬いてんじゃねぇよ」
 からかうように笑う政宗と、屈託なく笑ういつきと、真っ赤になって叫ぶ幸村とそれをまぁまぁとからかうように止める佐助。それから、ぐったりとした毛利と、それを笑う元親と慶次。賑やかな面子による馬鹿騒ぎにも似たパーティーは、大成功。といえるものだった。

 たとえ会場として店を借りる代わりに、年末に皆してまつ指導のもと、店の大掃除に駆り出されるのだとしても・・・






なんとか・・・無事に完結させられました。今更ですが、2007年クリスマス小咄です。フリーなので、もし気に入っていただけたら、どうぞお持ち帰りください。

破廉恥!って叫ぶ幸村とかを書きたかったんです(笑)
出来上がってみれば、なんだかいつきちゃん愛されな話になった分、伊達いつ度が薄れちゃいましたね。あはは
それはそうと、なんだか最近、ウチの学バサの勝手なキャラクター設定が少しずつ固まったきたような・・・

アニキといつきはお友達です。アニキは手先が器用そうだな〜というところからきたのか、お裁縫は得意。可愛いものも大好きです。
毛利といつきは図書館仲間です。これは以前のピクニックの話に続くお話からきてるんですが、実はまだ全部書き上がっていないという(汗)あと、この毛利はよく食べます。
利家とまつさんは喫茶店やってます。小十郎もよく利用してます。喫茶店なのにカフェというよりは定食みたいなメニューがあるお店です。慶次もたまに手伝ってます。

・・・そんな感じで。好きにやるにもほどがある(苦笑)

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