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 P3 焔野双珠(女の子主人公)

 一足お先にバレンタイン話などひとつ・・・

 それは、二月に入ってすぐのこと。

 これは女の意地なのですヨ!と、息巻く彼女を見ながら、何故今ここに自分が呼ばれているのかなんて、訊ねたところでムダなのだろうとは判ってはいるが、一応・・・
「ゆかりっチはともかく、なんでオレがここに呼ばれるんだよ」
「保険は多い方がいいでショ」
 にっこり笑ってるが、その発言に黒く含むところがあると思ったのは、きっとゆかりも同じだろう。
「命には変えられないし・・・」
 はいそこ女子二名!と、順平は律儀に突っ込んだ。いや、知ってはいた。が、何故目の前の二人して、遠い、黄昏れるような目をしているのか。何も難しいことをしようというのではない。ただ、チョコを溶かして固めるだけの筈だ。そう、手作りチョコというのはそういうものだとばかり思っていたのだが。
「なめてんじゃないの。溶かすったって、ちょっと温度間違えば風味損ねて美味しくなくなっちゃうんだから」
 男って、その辺知らないから勝手なこと言ってくれちゃうのよね。と、やや御立腹な様子のゆかりと、うんうん。と頷く双珠に反論することも出来ず押し黙る。
「で、とりあえず私達は出来る限りのことをしなきゃならないの。被害が出ないように」
 笑えない。三人は顔を見合わせ、それから溜息をついた。
「下手の横好きにしたって、アレはなぁ」
 食べられるものが食べられないものに化ける。まさに化学。そう言っても過言でないほど、彼等の仲間、風花の作るモノは強烈だった。
「なんで、味見しないんだろうね」
「そーゆーもんなのよ。そういう女の子って」
 作るのは好き。食べてもらいたい。けれどそういう子に限って、自分では味見もしない。まるで少女マンガのドジっ子ヒロインのような・・・これが乙女回路ってもんだろうか。なんて、以前必死で風花の弁当を完食した後、意識を手放す直前に双珠はそうのたまったのもいい思い出だ。
「でもさ、どうせなら、被害は少ない方がいいし。それに何より、手伝う以上は、ちゃんとしたものを作らせたいのよ」
 普段は面倒がってやらないが、ゆかりは人並みには料理もお菓子作りも出来る。双珠は最初はダメダメだったが、今は優秀なセンセイの元で日々学び、生来の小器用さも手伝って、それなりの腕になっているらしい。
「でもさぁ。別にオレっち関係ないじゃん」
 どうせくれたって義理っしょ?と、さすがにこれだけの付き合いだ。彼女達のことも、己のことも、順平は悲しいほどに判っている。
「乙女のジハードをラグナロクにさせるのはしのびないとは思わない?」
 聖戦に神々の黄昏とは、なんとも大仰な例えだが、なんとなくニュアンスは判る。
「てなわけで、先輩直伝のチョコレート制作を順平にもしっっかり覚えてもらいます!」
 きっぱりはっきり。なんとも頼もしく男らしく双珠の宣言した言葉に、もはや逆らえるわけもない。そして悲しいことに、順平もそれなりに小器用だったりするのである。




 バレンタイン当日。なぜかチョコレートの匂いを漂わせている順平と、双珠、ゆかりの前で、風花は恥ずかしそうに小さな包みを差し出した。それは昨日、彼女が嬉しそうに抱えていた包みとは違い、明らかに、有名ブランドのチョコレートのバレンタイン限定パッケージだった。
「ええ、と。風花、これは?」
「あのね、昨日皆で一生懸命手伝ってくれたのに、ごめんなさい」
「いや、いいんだけど、何で?」
 よもやあの危険物(やっぱり最終的には「何で!?」と、三人が目を見開いて首を傾げたシロモノになった。異物混入なんかは必死で阻止した筈なのに)が、自分達以外の、何も知らない罪もない一般生徒(じゃないかもしれないけど、誰か一般人)の手に渡ったのでは。と、三人は内心ゾッとする。しかしそんな不安は、次の瞬間にかき消えた。
「先輩が・・・次頑張ればいいからって」
 少し寂しそうな風花には申し訳なかったが、三人は多少の居心地の悪さも感じながら、風花に差し出されたチョコレートを受け取った。


「山岸のあれか・・・」
 特別寮に戻れば、今やこの寮の家政婦と化している荒垣が、不似合いなほど甘い香りをさせて、これまた不似合いなほど可愛らしいおやつを用意してくれていた。
「以前の焔野を見てりゃ、誰だって心配になるだろうが」
「あはははは」
「で、それと真田サンが此処で一緒にチョコレートケーキ食ってるのは理由でも?」
 クリームを乗せたしっとりとしたガトーショコラを口に運び、咀嚼して飲み下すと、真田明彦はその端正な眉を寄せた。
「あれがチョコレートであってなるものか」
 吐き捨てるようなつぶやきに、ああ。と、後輩三人は納得し、心の中で合掌した。
「代わりのチョコは桐条に手配してもらってたからな。この頑丈な筋肉バカならともかく、天田にあんなもの食わせられんだろう」
 大体、犬にまでチョコレート食わそうなんて非常識だろうが。と、動物好きな荒垣はやや怒鳴るような口調で言った。
「だから、あれは断じてチョコレートじゃない!」
 先輩二人の言葉を噛み締め、三人はしみじみと、美味しいチョコレートのケーキを味わう。先輩方の機転と尊い犠牲のおかげで、神々の黄昏だけは回避出来たことに感謝の意を込めて。

「で、順平は本命ってもらったの?」
「忘れようとしてんのになんでこのタイミングで言うかなこのやろう」






 風花は絶対理系だと思うのです。まず基礎が出来てないのに、理論で料理しようとしてるんじゃないか。とか。あとは見た目重視。でも料理って、化学なんだけどね〜系統としては。
 そして何故か順平率高いな双珠ネタ。女の子主人公を熱弁した当初、友人に、主人公×順平だと思ってた。と言われた理由が最近なんとなく判ってきました(笑)
 結局あれですよ。順平はバレンタインに女の子と一緒にチョコ作って終わったというね。

 ちなみに双珠ネタは、二年生組が進級、三年生組が卒業した時点からサザエさん時間軸でお願い致します。

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